財団法人ディフェンス・リサーチ・センターの横山恭三・研究委員は12月1日、国家基本問題研究所で、「中国のサイバー攻撃」について語り、同研究所企画委員と意見交換した。
この中で、横山・研究委員は、中国からのハッカー攻撃は、心配された通り、今年になり増加しているが、日本では官民共に危機感が薄い、と訴えた。
中国のハッカー事情について、同研究委員は
- 中国国内には約100のハッカー組織が存在する。多くは初心者にハッキング方法を教える「オンライン・ハッカー学校」だが、政府や人民解放軍は、民間のハッカー集団を操り、国益に沿うよう行動させているとみられる。
- 中国のインターネット検閲システムは高度、大規模で、中国を発信源とするサイバー攻撃が中国政府機関と何らかの関係があるとみるのが妥当であろう。
- ハッカー攻撃を受けた三菱重工や川崎重工は同一犯であろう。在外公館については中国の国家機関が関与した可能性が高い
などと述べた。さらに、同研究委員は、国家安全保障にとって本当の脅威は、第一に、企業の専用ネットワークに内部にいるスパイが接近、情報を取得することである。本なら何冊もの情報がUSB一本に簡単に収まり外部に持ち出されてしまう。
第二の脅威は、中国製パソコンの中に仕組みが隠されたりするサプライチェーンの問題などである。米国防総省が2001年、中国製「レノボ」のパソコン1万6千台を購入した際には機密文書を取り扱わない業務だけで使用することにした。昨年、インド政府は一部の中国製通信設備機器に盗聴用のスパイ部品が組み込まれているとして、安全検査を厳格にするなど事実上の輸入禁止措置をとった。
(文責 国基研)