公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2017年6月の記事一覧

 5月3日の安倍首相による憲法改正提案、とりわけ憲法第9条の改正については大きな反響を呼んだ。今回の安倍提案には大賛成であり、何としても実現してほしいと願っている。その立場から、私の思うところを3点ほど記させていただく。  ●求められるのは「政治的」に考えること  私はゴルフをすることはないが、憲法改正に向けた我々の立ち位置を、最近はこのゴルフの喩えをもって話すことが多い。ゴルフの第1打、...

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 韓国の文在寅政権が発足して40日が経った。予想通り、主体思想派の運動家による革命政権という性格が少しずつ明らかになってきた。  政権がスタートした5月10日、文大統領は首相、国家情報院長、秘書室長の3人の核心幹部を指名した。首相には李洛淵・前全羅南道知事、国情院長には徐薫・前国家情報院第3次長、秘書室長には任鍾晳・元国会議員を選んだ。この3人の言動から文政権の性格を分析しよう。  ●革命...

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 徐薫国家情報院長は国情院に長く勤めてきた対北専門家だ。盧武鉉政権時代、対北秘密交渉を担当し、北朝鮮に多くの人脈を持つ人物として知られている。その徐院長に文在寅大統領は国情院の改革を命じた。文大統領は国情院について2つの公約をしていた。  ●スパイと従北勢力の跋扈を放置  第1は、国内における情報収集を止め、海外でのみ情報収集を行う。2番目は北朝鮮スパイや従北活動家に対する捜査を警察に移す...

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 5月30日に北朝鮮は対艦弾道ミサイルを発射して朝鮮中央通信は「7メートルの精度で目標に命中させた」と報じた。中国の対艦弾道ミサイルであるDF-21Dですら平均誤差半径(Circular Error Probability-CEP-)が30〜40メートルとされているのに、独自の航法衛星を保有していない北朝鮮がそんな精度に達するはずはない、と眉唾ものだと思っていた。  ところが、香港を拠点とする日...

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 私の6月7日付寄稿に対して、西修先生から光栄にも反論(同12日付)をいただきました。それについて、さらに私の考えを述べたいと思います。  私は、西先生の憲法9条についての解釈には全面的に賛成です。というより、私の9条の解釈は、西先生や他の同様の解釈の先生方の教えを受けて、西説に立っているのですから当然です。66条2項についても私は西説に立ちます。9条2項の交戦権否認が、自衛権の放棄にはならない...

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 アメリカ憲法の第1章に規定された通常の大統領弾劾に加え、修正25条によるトランプ大統領罷免の可能性が、米メディアで取りざたされている。これは、重大な疾患などにより大統領が職務に耐え得ない場合を想定した規定である。  ここでも、基本的ファクトを押さえておくことが重要となる。修正25条の関連箇所(第4節)を要約するとこうなる。  副大統領を含む閣僚の過半数が、大統領がその職務上の権限および義務を...

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 まず私の第9条の改正論に対する基本的な立場を説明しておきましょう。  私は年来、自衛のための戦争や武力行使、および自衛のための戦力保持は、憲法に違反してはいないという解釈をとってきています。  詳細は省きますが、第1に第9条の原案たる『マッカーサー・ノート』には、明白に侵略戦争のみならず、自衛戦争の放棄も明記されていました。同ノートを条文化した民政局次長のチャールズ・ケーディスが、自衛戦争放...

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 米国が「パリ協定」から離脱した。私の率直な意見は、「これでやっと地球温暖化、気候変動の問題を学問として研究できるかもしれない」ということである。  多くの読者は「いまさら何をバカな」と思われるであろう。地球温暖化は現在、確かに進行している。それなのに米国はなぜ、「パリ協定」から離脱したのかと疑問を持つのは当然である。しかし、これを機会になぜこの問題が、「パリ協定」という世界中の多くの国を挙げて...

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 比較憲法学の権威、西修教授による5月22日付の「改憲発議にウイング広げた総理の提案を評価す」について、私も意見を述べたい。  西教授は、安倍晋三総理が国会での改憲論議の低調さにしびれを切らして2020年を目標年に改憲すると言ったことを評価し、2020年ではなく、2019年でもよくはないかと述べる。賛成です。  また、総理が改憲の項目として自衛隊の存在と教育の無償化をあげたことについて、国家緊...

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 サウジアラビア、エジプト、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメンのアラブ5カ国が5日、カタールと国交を断絶した。シリアやイエメンでテロ組織を支援したことを理由にしている。  カタールについて筆者は、2010年秋に防衛大学校の国際教育研究官として、防衛大学校と同国士官学校との学生交流を具現化するために単身訪問し、アラビア語履修防大生の数カ月間にわたる長期派遣を決めたことがあって個人的な...

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 いささか陳腐な捩もじりかもしれないが、とっくの昔に骨董的文献となっているマルクス・エンゲルスの『共産党宣言』の冒頭の一節になぞらえれば、「一つの妖怪が日本を徘徊している―『女性宮家』という妖怪が」ということであろうか。  周知のように、昨年8月8日に天皇陛下から発せられたビデオ・メッセージは、皇室典範に定める「重病などによりその機能を果たし得なくなった場合」という摂政設置事由にとどまらず、「天...

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 「史上最悪の冷え込み」とトランプ米大統領自身が認める米露関係で気がかりなのは、近年両国の核軍備管理交渉が行われていないことだ。冷戦期の米ソ対立は激しかったが、両軍専門家による軍備管理交渉が定期的に開かれ、米ソ戦略関係の安定化に貢献した。現在は交渉空白の中、米露は核戦力近代化を推進。トランプ大統領はしばしば核について不穏な発言をするし、プーチン大統領も「核の恫喝」に言及する。核の問題に敏感なはずの...

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 環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership:TPP)署名11カ国は、5月21日にベトナム・ハノイで閣僚会合を開き、早期発効を目指すことで一致した。日本が目指す「11カ国での先行発効」など具体的な方向性には触れなかったが、米国抜きの早期発効に向けた選択肢の検討を11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに終えることなどが確認された。TPPは今後も予...

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 ワンセグへの課金など、このところNHKの〝熱心な〟受信料の取り立てが話題になりますが、こうして集めた受信料収入の一部が、海外の偏向メディアに広告料として使われていることを日本の視聴者はご存じでしょうか。  今回、「沖縄問題」や「日本会議」について日本を貶める記事を多く載せているフランスのフリーペーパーについて取材する機会があったので、その報告をしたいと思います。  この「ZOOM JAPON...

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