公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2018年9月の記事一覧

 嘗て、米国の大学院でネットアセスメント(総合戦略評価)の教務を受講していた際、これが米国の覇権維持戦略かと印象深かった内容がある。横軸に友好度の度合いを、縦軸に国力の度合いをとるグラフで、敵対的且つ国力が強化されつつある国をグループ分けし、米国に近づけないとする内容であった。  ●厳しさ増す一方の対中認識  「トゥキディデスの罠」という言葉がある。覇権国家と新興国家がぶつかり合う現象で、...

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 日露間の北方領土交渉は、プーチン大統領が年内に無条件で平和条約を結び、その後に領土交渉を行うとする〝棚上げ案〟を表明するなど、大きく後退している。安倍晋三首相が悲願とする「任期中の領土問題決着と平和条約締結」に暗雲が漂うが、領土割譲に消極的なロシアを動かすには、従来のやり方では、もはや不可能だろう。対露交渉では、ロシアに返還を決断させるような変化球やサプライズが必要となる。一つのカードになり得る...

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 米投資銀行大手リーマン・ブラザーズが破綻し、世界の金融市場が大混乱に陥った「リーマン・ショック」から9月15日で丁度10年が経過した。  「バブルは崩壊して、初めてバブルと分かる」と語ったのは、政策運営のマエストロ(巨匠)と称されたグリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長だが、足下の世界経済はリーマン・ショック直前をもしのぐ資産(株+債券)バブルの様相を呈している。「百年に一度」と言われ...

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 防衛省は17日、海上自衛隊の水上艦艇「かが」「いなづま」「すずつき」が、潜水艦「くろしお」と南シナ海で対潜水艦訓練を行ったと発表した。潜水艦の南シナ海での訓練が公表されたのは初めてである。一口に対潜戦と言っても2通りの潜水艦がある。弾道ミサイルを搭載した戦略潜水艦(SSBN)と攻撃型潜水艦(SSN、SS)である。今回は、後者を目的としたものであろうが、前者も対米関係向上の観点から必要である。 ...

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 ロシア軍は9月11日、冷戦後最大規模となる軍事演習「ボストーク(東方)2018」を極東やシベリアなどで開始した。17日までの日程で総勢30万人の兵士を動員し、中国の人民解放軍との合同演習も行う。  中国は北方戦区から兵力3200人、1000を越える武器、30機の航空機で参加している。中露は過去にも合同演習を行っているが、今回ほど大きな規模ではなかった。  これまでの中露合同演習を見る限り、互...

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 9月6日午前3時8分、北海道南部の胆振地方を震源とする最大深度7の地震が発生し、道全域の295万戸で電力供給が止まる、いわゆるブラックアウトが起こった。  震源地に近く、道内電力の約50%を供給していた苫東厚真火力発電所(総出力165万kW)が運転停止したため、ドミノ倒しのように全道の火力発電所、水力発電所が送電系統から切り離され、本州からの海底ケーブル(北本連系線)での受電も停止した。  ...

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 ロシア軍は9月11日から5日間、極東一帯で兵力30万人を動員する過去最大規模の軍事演習を実施する。これには中国軍も3200人の部隊を派遣し、緊密な中露蜜月をアピールするようだ。演習と並行してウラジオストクで「東方経済フォーラム」が開かれ、安倍晋三首相が出席するが、憂鬱な外遊となりそうだ。  ●中国を同盟国扱いするロシア  中露は例年、日本海や東シナ海で海軍合同演習を実施するが、ロシア国内...

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 8月24日に米議会の「米中経済・安全保障見直し委員会(U.S.-China Economic and Security Review Commission)」は、『中国の海外における統一戦線工作(China’s Overseas Unified Front Work)』という約40ページの報告書を公表した。中国共産党隷下の中央統一戦線工作部が海外で親中派を育成のため行っている工作実態を明らかにし...

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