公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2023年 8月の記事一覧

ウクライナ戦争勃発後、先進7カ国(G7)による対ロシア制裁にくみしない発展途上国が「グローバルサウス」と称されるようになり、存在感を増している。G7とロシアの対立で中立を装う中国はこの機に乗じて、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの新興5カ国で構成するBRICSを踏み台に、人民元決済のグローバルサウスへの浸透を狙う。 中国の策略が部分的にせよ結実したのが、8月24日、南アフリカのヨハ...

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8月20日から1週間、チェコの首都プラハで米国防総合大学(NDU)が主催した卒業生の安全保障セミナーに参加した。当初ルーマニアの首都ブカレストで行われる予定であったが、ウクライナとの国境付近にロシアのミサイルが飛来するに及び、急遽プラハに変更された。約100名の卒業生が参加した。 8月20日はソ連軍による1968年のチェコスロバキア(当時)侵攻の55周年に当たり、開催に協力したチェコ国防省・...

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迫りくる独裁国家群の脅威は、歴史的な不和を引きずる民主国家を強力な結束へと導いた。8月18日、ワシントン郊外の米大統領別荘キャンプデービッドで開催された日米韓3カ国首脳会談は、覇権主義的な中国に対して軍事面の「抑止」と経済面の「リスク回避」で結束することで合意した。北朝鮮、ロシアと枢軸関係にある中国が、差し迫った衰退によって対外強硬策へ向かう危険性があるだけに、日米韓が「インド太平洋を越えた協力」...

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6日の「原爆の日」、広島市の松井一実市長は平和記念式典で「核抑止論は破綻している」と訴えたが、ウクライナ戦争で核抑止論は逆に立証されていると言える。 米の支援小出しは露の核への恐れ 米国のジョー・バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻が迫っていた2021年12月の段階で、本来、曖昧にしておくべきであった米軍派遣を「検討していない」と述べた。これがロシアのウラジミール・プーチン大統領を...

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7月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議では、フランスのエマニュエル・マクロン大統領の反対によってNATOの東京連絡事務所設置が「将来検討」となってしまった。 しかし7月末には、航空自衛隊の宮崎県新田原基地でフランス航空宇宙軍の主力戦闘機ラファール等と空自が共同訓練を行い、同軍参謀長ミル大将も訪日した。また6月には、沖縄東方海域で日仏米の海空軍が共同訓練を行い、日本からヘリコプター搭載母艦...

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昨年12月、岸田文雄政権は、「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定し、防衛力の抜本強化に乗り出した。 今回の国家安全保障戦略の特徴は、防衛力を抜本強化するだけでなく、防衛力以外の方策も明確に打ち出していることだ。日本を守る力は防衛力だけでない。次の五つだと同戦略は指摘している。 日本を守る五つの力 第一に外交力。ロシアによるウクライナ侵略でも明らかなように、友好国、同志国を...

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7月27日の北朝鮮の朝鮮戦争「戦勝」70周年記念閲兵式にあたり、ロシアのプーチン大統領が祝辞を寄せた。訪朝したショイグ国防相が持参した。その中でプーチン氏は「数万回の戦闘飛行を遂行した飛行士を含むソ連の軍人も、朝鮮の愛国者と共に肩を組んで戦いながら、敵の撃滅に重みのある寄与をした。この過程に結ばれた戦闘的友誼の歴史的経験は、高貴な価値を有しており、政治と経済、安全分野においてロシアと朝鮮民主主義人...

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7月28日、令和5年度版防衛白書が公表された。昨年12月の国家安全保障戦略(以下「安保戦略」)など3文書の決定後、初めて刊行される白書である。 初めて安保戦略を策定した2013年以降、約10年間における安全保障環境の変化や、我が国の防衛力強化の取り組み、3文書決定に至った経緯や概要を本文の前に特集している点、また、防衛省が主管官庁である国家防衛戦略(以下「国防戦略」)について、本文とは別に特...

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