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2014.03.10 (月) 印刷する

米紙の誤認記事と日本の「逃げの反論」は同根 島田洋一(福井県立大学教授)

 米有力紙ワシントン・ポストが、慰安婦問題に関し、また事実認識に重大な欠陥のある記事を出した。(2014年3月7日付。“In considering revision of sex-slaves apology, Japan draws acrimony”)
 日本軍が業者による慰安所の設置を認め、運営に種々の便宜を図ったというのは誰もが認める事実だ。
ところが、それを「かつては極右だけだったが、今や主流派まで」が認めないという誤った前提から、日本批判に及ぶパターン化された中傷を行っている。
 「ほとんどの歴史家」が安倍首相の識に反対しているといったやはりパターン化された意図的誤認も見られる。批判対象には気楽に「右翼」のレッテルを貼る一方、こういう場合に、「左翼の歴史家」はといった表現が使われることはない。
言うまでもなく、日本の良識派が特に主張し見直しを求めているのは、軍による強制連行がなかったという1点である。
 日本政府がそこに焦点を合わせた真の反論から逃げ続けるから、この種の低質な誹謗記事が出続けることになる。
 ジュネーブで開催中の国連人権理事会で、3月7日、韓国外相が慰安婦問題で再び捏造批判を繰り返し、日本政府代表が「反論」したとされる。が、その「反論」は報道を見る限り、肝心の「強制連行なし」を打ち出さず、「先制降伏」と「逃げの反論」の悪しきパターンを繰り返したものだ。
 さらには、「談話を見直すとは一度も言っていない。菅義偉官房長官も政府の立場は河野談話の継承だとしている」と強調するなど、河野談話護持の立場から安倍首相を縛ろうとする意図すら窺える。
 要するに、安倍首相を批判する米紙の議論も、安倍首相を「擁護」するはずの日本外務省の「反論」も、パターン化された歪みに陥ったままである。