個人の自由や自由な体制を守ろうとする者を「リベラル」という。「真のリベラル」と呼ぼう。リベラルにはもう一つ「寛大な」という意味がある。リベラルの本来の内実を忘れてひたすら「寛大な」だけの者は「偽のリベラル」である。保守対リベラルという表現で語られる際のリベラルはたいてい「偽のリベラル」だ。
「真のリベラル」が他者の異論に寛大であることは普通にあり得るが、自由の敵に対してはその限りでない。戦いあるのみである。「偽のリベラル」は自由の敵にも寛大。自国の国益が脅かされても、先方が全体主義大国であっても、「相手のいやがることはしない」との唯々諾々の対応に終始する。全てを弁えた上での「隠れ全体主義」者でなければ、信じやすい生真面目なお人好しである。言論の自由なき体制―根本に虚偽のある体制―が発する情報の誘導や操作や捏造に軽々と騙され、自由な体制に危険を呼び込む。
自由な体制も一つの体制である以上、時に権謀術数さながらの情報戦略を必要とする。しかしその本性上「正直は最良の政策」を信条とし、政権批判ないし反体制的な言論とも共存しつつ己の体制の保全を図るという自制の倫理がある。自由主義の真骨頂でもあり美徳でもあるが、それ故にこそ「偽のリベラル」の暗躍の余地も生じるわけである。自由な体制保全のためには「真のリベラル」の気概を堅持しつつ「偽のリベラル」の動向に警戒を怠ってはならぬ所以である。
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