北朝鮮体制を一時相当追い詰めたのは、ブッシュ政権が2005年9月に発動した金融制裁だった。「戦略的法執行」と関係者は呼んだが、その背後には、米ドル偽造はアメリカに対する戦争行為であり、相手がどの国、どの勢力であれ許せないとの認識があった。
資金移動が滞った北は深刻な打撃を受け、六者協議のレセプションの場で白酒(パイチュー)を飲んで酔った北の代表の一人は、米側のビクター・チャ次席代表(NSC日本朝鮮部長)に身を傾け、「君らアメリカ人は、ついにわれわれを痛めつける方法を発見したな("You…you Americans finally have found a way to hurt us.”)」と毒づいたという。(Victor Cha, The Impossible State, 2012, p.266)
コンドリーサ・ライス国務長官も、金融制裁の効果は「劇的」で、「多くの金融機関が北朝鮮政権との関係を断った。アメリカの金融システムへのアクセスを失うリスクをあえて冒そうとする外国銀行はほとんどなかった」と回顧録に記している。(Condoleezza Rice, No Higher Honor, 2011, p.521)
朝日新聞が慰安婦問題で行ったレベルの「歴史偽造」は、日本国・日本国民に与えた甚大な被害に照らせば明らかな戦争行為であり、制裁発動に値する。
徹底した謝罪と検証を日英両文で行い発信するまで朝日新聞に広告は出さない、との姿勢を企業、特に大企業が維持すれば、同紙にとっては、北朝鮮指導部同様「ついにわれわれを痛めつける方法を発見したな」と述懐せざるをえない事態にもなろう。
もちろん、ライス国務長官、ヒル国務次官補がブッシュを誤導したように、相手の見せかけの措置に欺瞞されて中途半端に制裁を解除してはならない。
「北朝鮮問題」の解決に北の政体変更が不可欠なのと同様、心ある記者を中心とした朝日新聞の再生にも、社を経済的に揺るがすほどの非常事態が必要だろう。