公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

2014.11.27 (木) 印刷する

日米偏向報道、負の連鎖を断ち切れ 島田洋一(福井県立大学教授)

 とがめた店員を突き飛ばしつつ堂々とコンビニ強盗をした後、仲間と共に車道を歩いていた身長190センチ超・体重130キロ超の18歳を、白人警官による人種差別の犠牲となった「非武装の少年」(unarmed teenager)などと描写するアメリカの進歩派メディアと、その受け売りがほとんどの日本のメディアの偏向報道ぶりの中で、下の読売の記事は、元の米ABCテレビのインタビュー共々、バランスの回復を図ったものと言える。

「差別への抗議」を隠れ蓑に商店の略奪をする者らは、卑劣な犯罪者に過ぎない。「黒人社会の怒り」などと安易に人種問題と結びつけた報道は、犯罪の助長にもつながる。対岸の火事ではない。日本人が経営する、あるいは従業員として働く商店もいつ犠牲になるか分からない。

米主流メディアが、朝日新聞などに影響されて「間違った日本」を伝え、日本の主流メディアが、進歩派のニューヨーク・タイムズや三大テレビ・ネットワーク等に影響されて「間違ったアメリカ」を伝えるという負の連鎖を断ち切らねばならない。

「やましいことない」不起訴の白人警官が主張(読売 2014年11月26日)
【ファーガソン=加藤賢治】「私は職務を遂行した。やましいことは何もない」。

米ミズーリ州ファーガソンで8月、黒人青年(当時18歳)を射殺し、地元大陪審が不起訴とした白人警官ダレン・ウィルソン氏(28)が25日、米ABCテレビのインタビューに応じ、発砲は正当防衛だったと主張した。

射殺事件後、初めて公の場に出たウィルソン氏は、巡回中に青年と口論になり、顔を何度も殴られ、銃を奪われそうになったと説明。その後、逃走した青年が反転し、襲おうと突進してきたため、発砲したと説明した。制止を命じたが、青年は向かってきたという。「青年が白人だったとしても同じ行動を取ったか」と問われ、「当然だ」と答えた。

また、ウィルソン氏が9月に大陪審で行った証言内容も公開され、殴りかかってきた青年の様子を「激怒しており、悪魔のようだった」と説明していたことが分かった。
読売 2014年11月26日

さらに補足として、保守系ネット紙ニューズマックスの「メディアが決して伝えないファーガソン事件についての13の事実」と題する記事(ジム・マイヤーズ執筆)から仮訳し引いておく。いずれも、草の根保守に影響のあるトークラジオの世界ではいち早く指摘されてきた点である。

〈大陪審がダレン・ウィルソン巡査によるマイケル・ブラウンの射撃死を不起訴とした後、暴動に走った抗議者らによれば、これは人種間の緊張がある地域で、白人警官が両手を挙げている非武装の黒人ティーンエイジャーを撃った事件である。それはまた、多くの主流メディアが解説するところでもある。しかしこの事件に関して、あまり伝えられないいくつかの事実がある。

  1. 両者が遭遇する少し前、18歳のブラウンがコンビニで小型葉巻を盗み(中身を抜いて麻薬を詰めるためよく用いられる。島田注)、制止した店員を突き飛ばすさまを監視カメラが捉えていた。
  2. 検死報告によれば、死亡時のブラウンの体内からマリファナの成分が検出された。
  3. 友人と車道を歩いていたブラウンに対し、ウィルソン巡査が歩道に上がるよう注意したところ、汚い言葉を返された。
  4. ウィルソン巡査がブラウンに職務質問したのは、その手に小型葉巻の箱が握られているのを見、コンビニ強盗事件の無線連絡があったことを思い出してからであった。
  5. ウィルソンによれば、車のドアを開けようとしたところ、外から強く閉められ、次いで顔面を殴られた。
  6. もう一発殴られると気を失いかねないと思って銃を抜いたとウィルソンは大陪審に証言している。ブラウンはその銃を掴んで、「お前は腰抜けで撃てやしない」と言ったという。
  7. 黒人の証人によれば、ウィルソンとブラウンが車の脇で「腕相撲」をしているように見えたという。
  8. 別の証人は、ブラウンが車の窓から身を入れているのを見たとし、「何か争いが起こっていた」と言う。
  9. ウィルソンが発砲し、弾が手に当たった後、ブラウンは逃走し、ウィルソンが追跡した。身元が明らかにされていない証人が大陪審に語ったところでは、身長193センチで体重133キロのブラウンが頭を下げてウィルソンに突進してきた。ウィルソンによれば、ブラウンは突進しつつ手をズボンのウエストバンドの下に入れた。ウィルソンが発砲したのはその時だった。
  10. ある証人は、ブラウンは両手を挙げてはいないと証言した。
  11. ブラウンの手の傷から硝煙反応が出て、発砲時、彼の手が銃の近くにあったことを示している。報告によれば、手の傷は「銃身から発射された物体に適合する」異物の存在を示していた。
  12. 検死結果をセントルイス・ディスパッチ紙の依頼で検証した法医学者ジュディ・メリネクによれば、「傷から硝煙の微粒子が出たとすれば、男が銃に手を伸ばしたという事実を補強する」とのことである。
  13. ウィルソンによれば、ブラウンを肉体的に制御不能で、「他にうまい言葉が浮かばないので言えば、狂っていた(crazy)」。

争いの間中、ウィルソンは、「相手はこちらを殺すつもりだ。どうして生き延びようか」と考えていた。法律専門家は、安全が脅かされたと感じた時、警官には殺傷能力のある武器を使う裁量の余地が広くあるものだと言う。〉
Jim Meyers,
“13 Facts About Ferguson the Media Will Never Tell You”,
News Max, 25 Nov 2014.

以上、アメリカのメディアはともかく、日本のメディアではほとんど言及されない諸点を紹介した。