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2014.12.01 (月) 印刷する

共同、時事は「慰安婦=性奴隷」を改めよ 島田洋一(福井県立大学教授)

 〈いわゆる従軍慰安婦問題の報道で、読売新聞発行の英字紙「デイリー・ヨミウリ」が1992年2月から2013年1月にかけて、「性奴隷」(sex slave/servitude)など不適切な表現を計97本の記事で使用していたことが社内調査で明らかになりました。読売新聞は、誤解を招く表現を使ってきたことをおわびし、記事データベースでも該当の全記事に、表現が不適切だったことを付記する措置をとります。……「性奴隷」にあたる単語を不適切に使用していたものは85本、……「性奴隷」という言葉は用いていないが、慰安婦を「日本軍によって売春を強要された女性たち」などと定義し、政府・軍による強制を客観的事実であるかのように記述した記事も、12本あった。……〉(引用終わり)

 遅きに失したとはいえ、読売のこの姿勢は大いに評価できる。
 ところで、この件を報じた共同通信と時事通信の配信記事を見ると、読売とは逆に、いまだ無反省無責任が顕著である。まず両社の記事を引いておこう。

〈■「性奴隷」謝罪に米紙関心 読売英字紙の慰安婦報道…「安倍主導の中起きた」「中韓刺激は確実」(共同 2014.11.29)
 米紙ワシントン・ポスト電子版は28日、慰安婦問題をめぐり、英字紙「デイリー・ヨミウリ」(現ジャパン・ニューズ)の記事に「性奴隷」を意味する単語など不適切な表現があったとして同紙を発行する読売新聞が謝罪記事を掲載したことを詳しく伝え、関心をのぞかせた。
 ワシントン・ポストは「(謝罪記事掲載は)日本の戦争中の歴史を再評価しようという安倍晋三首相が主導する大きな動きがある中で起きた」と解説。「韓国や中国との関係を刺激するのは確実だ」との見方を示した。
 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版も今回の謝罪記事について伝え、慰安婦に関する朝日新聞の一部記事取り消しなどについても紹介した。〉

〈■「性奴隷」謝罪を報道=米欧メディア(時事 2014.11.30)
 【ワシントン時事】29日付の米紙ワシントン・ポストは、読売新聞社が英字紙で従軍慰安婦問題を報じる際に「性奴隷」という不適切な表現を用いていたとして謝罪したことを伝えた。ポスト紙は謝罪について、安倍晋三首相が戦争中の歴史を見直す動きを主導する中で起きたと指摘し、「不安定な韓国や中国との関係を刺激するのは確実」との見方を示した。
 ポスト紙に加え、米紙ニューヨーク・タイムズや英BBC放送なども、読売新聞の謝罪を報道。いずれも日本での保守的主張の台頭と謝罪を関連付けて伝えている。また、ポスト紙とBBCは、慰安婦に関し、20万人が旧日本軍によって強制的に徴用されたと紹介している。〉(記事の引用終わり)

 誤りを認め改めた読売に対し、いまだ英文記事で「慰安婦=強制された性奴隷」と規定する英文記事を世界に流し続けている共同と時事が、外紙を引用する形で、「韓国や中国との関係を刺激するのは確実」などと、淡々と中韓を煽るがごとき表現を盛り込むのは不見識という他ない。
 ちなみに共同通信英語版の最近の事例を引くと、「韓国が国連人権会議で4年連続『慰安婦』に言及」(S. Korea mentions "comfort women" at U.N. Human Rights panel for fourth year)と題する2014年10月16日付記事では、冒頭で、「日本軍の売春宿に連れてこられ性奴隷とされた『慰安婦』の問題」(The issue of "comfort women" who were brought into sexual slavery at Japanese military brothels)と規定している。続いて、国連における日韓両政府の応酬を紹介するが、冒頭の規定があるため、正しいのは韓国側という印象にならざるを得ない。
 時事通信英語版の最近の事例では、「『慰安婦』問題で更なる進展必要-朴大統領、国会代表団に」(Progress still needed on ‘comfort women’ issue, Park tells Diet delegation)と題する2014年10月25日付記事で、「性奴隷」という単語こそ使っていないものの、「主として韓国人からなる、帝国日本将兵に性の提供するため軍の売春宿に強制的に入れられた慰安婦」(comfort women, mainly Koreans, who were forced into military brothels to provide sex to Imperial Japanese troops)と規定している。ほとんど性奴隷と言っているも同然だろう。
 そして、AFP/時事配信の英文記事では、「慰安婦=性奴隷(sex slave)」とのより直接的な表現が頻繁に見られる。
 時事通信のあるOBは、「AFP/時事とあるのは実際上AFPの記事で、時事は関与しないし、できない」と解説するが、国際的には、日本の二大通信社である共同、時事がいずれも慰安婦=性奴隷との認識に立っていると受け止められることになろう。
 読売がよい見本を示した。この上なお共同、時事が従来通りの英文発信を続けるなら、単なる無自覚無責任ではなく、自覚的な反日行為と断ぜざるを得ない。なお、「国基研ろんだん」の下記拙稿も参照頂きたい。

■共同通信、時事通信英語版の責任 https://jinf.jp/feedback/archives/14278