公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

2015.01.26 (月) 印刷する

ダッカ事件と北朝鮮拉致の教訓 島田洋一(福井県立大学教授)

 テロ集団「イスラム国」に拘束されていた日本人、湯川遥菜、後藤健二両氏のうち、湯川氏はすでに殺害されたと報じられている(1月26日正午現在)。両氏の行動に軽率な部分があったとしても、冷酷に殺されねばならぬ理由など一切ない。これは日本国に対する挑戦でもある。
 特に政府、政党、主流メディアにおいては、テロに屈しない、はもちろん、テロリストに揺さぶられたと見えないことも肝心だ。
 理念も状況判断も欠く安倍批判やテロリストに迎合したかのごとき言動に走る人間が国会議員の中にもいるのは実に情けない(例えば、民主党の徳永エリ参院議員、「生活」の山本太郎参院議員、共産党の池内さおり衆院議員など)。
 しかし事は、単に情けないにとどまらず、国民の将来の安全にも関わる。
 1977年9月28日に起きた日本赤軍によるダッカ日航機ハイジャック事件が、今般の人質事件との関連で、しばしば言及される。
 当時の福田赳夫首相は、「人命は地球より重い」との迷言と共に、赤軍メンバーら6人の釈放と身代金支払いという「超法規的な措置」に出た。まさに典型的なテロへの屈服であった。
 この政府の対応からさほど時を措かず、北朝鮮による松本京子さん拉致(同年10月21日)、横田めぐみさん拉致(11月15日)、翌年に入って田口八重子さん、地村、蓮池、市川さん3組のアベック、曽我さん親子拉致と被害が続いている。
 ダッカ事件と北朝鮮による拉致の頻発が果たして無関係か。少なくとも、ダッカでの屈服を見た北朝鮮が、「日本、想像以上に与しやすし」と対日工作を活発化させた可能性はないか。
 今また、多数のテロ集団と共に、北朝鮮も日本の動きを注視していよう。
 仮に拉致被害者を亡きものにして遺骨を出し、決着を図ろうなどと愚かな動きに出れば決して許さない、とのメッセージを日本政府は北に発してきたはずである(果たしてどの程度強くかは今は問わない)。
 イスラム・ファシズム集団の壊滅に今後は主導的役割を果たすとの姿勢を明確に示すことが、北朝鮮に対する警告メッセージともなる。