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2015.01.29 (木) 印刷する

慰安婦問題で国基研「直言」に過敏に反応 島田洋一(福井県立大学教授)

 米カリフォルニア州の公立高校で使用されている世界史の教科書(マグロウヒル社)に、「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に募集、徴用した」「逃げようとして殺害された慰安婦もいた」「日本軍は慰安婦を天皇からの贈り物として軍隊にささげた」などときわめて歪曲された記述がある問題で、韓国紙・朝鮮日報が髙橋史朗教授(国基研理事)を特に名指しで非難した。まず、当該記事を引いておこう。

 朝鮮日報(日本語版) 2015年1月21日
 ■慰安婦:日本政府が米教科書記述に圧力、米専門家ら反発
「米歴史教科書まで歪曲しようとする日本は『学術の自由』の脅威」
「日本が慰安婦記述歪曲のため出版社に圧力、度超えている」
 日本政府や「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、つくる会)所属の髙橋史朗明星大学教授が米国の歴史教科書の記述を歪曲しようとしていることに対し、米国内の専門家が反発している。日本は、米国内の歴史教科書を作るマグロウヒル出版社に、従軍慰安婦が「天皇の贈り物」と描写した部分と、南京大虐殺時に中国人の首を切る写真を削除するよう圧力をかけた。
 ジョンズ・ホプキンス大学のデニス・ハルピン高等国際関係大学院研究員は20日、本紙の電子メールによるインタビューで、「写真などを削除するよう要求することは、イスラム原理主義を主張するイスラム戦士たちがフランス・パリの時事週刊誌の風刺画掲載に反発したのと似ている。言論の自由のための問題提起だ」と述べた。コネチカット大学のアレクシス・ダデン歴史学科教授は「米国の教科書に対する日本の歴史歪曲行為は、学術の自由に対する直接的な脅威だ」と批判した。
 日本の慰安婦問題に対する消極的な姿勢を指摘し続けてきた米研究機関「アジア・ポリシー・ポイント」のミンディ・コトラー所長もマスコミのインタビューで「安倍政権は建設的な過程へと進まず、自分自身を破壊する経路に入った」と述べた。ワシントンの政治情報を掲載する「ネルソン・リポート」には、匿名希望の北東アジア専門家が「米国の学者・出版業者らは、日本に対し歪曲行為をすぐさまやめるよう促すべきだ」という文章を掲載した。日本はこのほど、在ニューヨーク日本総領事館を通じ、慰安婦について記述したマグロウヒル出版社に対し関連記述を修正してほしいと要請したものの、拒否されていたことが分かった。特に、この過程で極右団体の「つくる会」が実査作業を行い、日本政府に報告していたことが確認されている。 ワシントン=ユン・ジョンホ特派員(引用終わり)

 髙橋氏によると、国基研「今週の直言」2015年1月13日付で論じた以外、この問題で公の文章は発表していないとのことなので、記事の情報源は「直言」英語版と考えてよいだろう。
 ハルピン、コトラー両氏とは、作年9月、国基研訪米団(私もその一員)がワシントンで意見交換(論争に近いか)をしており、彼らも負の意味で国基研の活動に注目している。
 それにしても、髙橋氏の事実に立脚した指摘、すなわちあくまで言論の世界での動きを、イスラム・テロリストによるフランス新聞社襲撃に喩えるハルピン氏の発言など、あまりに常軌を逸した誇張ないし過敏さである。期せずして、誇張に走りがちな自らの姿勢を暴露した形だ。
 「安倍政権は、……自分自身を破壊する経路に入った」というコトラー氏の託宣にも、アメリカで日本叩きに邁進してきた運動家らの焦りが窺える。日本は事実で反論してこないという安心から、思うままのプロパガンダを展開してきたものの、その足元が揺らいできたからだ。
 もっとも、外務省はいまだ事実で反論する姿勢を見せない。国際情報戦において、国基研はじめ民間、そして政界有志の役割がますます重要にならざるを得ない。
 「敵」はそのことを理解している。