公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

髙橋史朗

【第281回】情報戦勝利へ国際広報が急務

髙橋史朗 / 2015.01.13 (火)


国基研理事・明星大学教授 髙橋史朗

 

 昨年末、慰安婦問題の調査のため渡米し、全米8か所の慰安婦碑・像の調査を完了するとともに、高校の歴史教科書と授業について3名の高校生とその母親からヒアリングを行った(1月8日付産経新聞「『40万人犠牲』米高校試験に」参照)。その内容をニューヨーク総領事に面会して伝えるとともに、対応策などについて意見交換をした。

 ●米教科書に捏造写真も
 「慰安婦は天皇からの贈り物」と書かれたマグロウヒル教育社の世界史教科書には、ハロルド・ティンパーリ(田伯烈)編『外人目撃中の日軍暴行』に「殺頭」と題して掲載された写真が「中国人捕虜を処刑する日本兵」として使われている。この写真は東中野修道・小林進・福永慎次郎著『南京事件「証拠写真」を検証する』(草思社)で「南京での日本軍の処刑写真ではない」と指摘されたものだ。
 このような写真が教科書に使用されていることは重大な問題であり、慰安婦の記述と同様に、日本政府として正式に訂正を申し入れる必要がある。
 また、カナダの国立人権博物館の慰安婦展示では、「歴史教科書における慰安婦制度についての言及が不十分であると反検閲組織の代表である俵義文(「子どもと教科書全国ネット21」事務局長)が指摘」した画像や、「従軍慰安婦」という造語を広めた作家の千田夏光氏を大きく取り上げ、櫻井よしこ国基研理事長も名を連ねたワシントン・ポストの意見広告や、安倍晋三首相、日本政府を批判している。また、朝日新聞の1992年1月11日の誤報記事を画像で示しながらプレゼンテーションが行われている映像もある。

 ●中国の影
 この慰安婦展示には中国系団体が深く関与しており、米国とカナダの教師を中国に招待して研修旅行が行われている。昨年8月27日付ワシントン・ポストの別刷りの1面トップに元慰安婦の大きな写真付きで「残虐行為への謝罪を」という大見出しの記事が掲載されたが、この別刷りは中国共産党が年間数百万ドルの代金を払ってワシントン・ポストに折り込ませているのである。
 また、2007年4月に米政府の各省庁作業班(IWG)が議会向けに提出した報告書は序文で、調査の実施を働きかけた中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(抗日連合会)に「日本の戦争犯罪に関する資料を見つけることができなかった」ことを詫びしている。
 1940年、当時の若杉要ニューヨーク総領事は松岡洋右外相に「米国内の反日運動」について報告し、「日米分断策動」に乗らないように訴えたが、日米開戦となった。「情報戦の敗北」は今日も続いている。戦後70年を迎えた今年、歴史をめぐる情報戦は正念場を迎えている。中韓両国の日米分断策動に毅然と対応する覚悟を持ち、官民一体となった新たな国際広報組織の構築が急務である。(了)