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2015.04.01 (水) 印刷する

「わが軍」発言に「反発」する政治家の低質 島田洋一(福井県立大学教授)

 安倍晋三首相が国会答弁中に、自衛隊を「わが軍」と表現したことに野党が「反発」し、執拗に追及を続けたため、首相は31日、「大切な予算委員会の時間がこんなに使われるのであれば、そういう言葉は使わない」と騒ぎの収拾を図ったという。

自衛隊法第7条に、「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」と規定されている。軍の最高指揮官が、自国の軍を「わが軍」と表現して問題になるのは日本だけだろう。

いかに日本国憲法が歪んだ文書であるか分かる。安倍政権は、今回のやり取りを英訳して国際広報に用いるべきだ。なぜ憲法改正が必要か、世界中の常識ある人には一目瞭然となろう。

民主党の枝野幸男幹事長は、「憲法に陸海空軍その他の戦力を持たないと明記されている。説明がつかない」と首相を批判し、また「わが国の自衛隊であり、安倍さんのものではない」とも語ったという。枝野氏は同じ言葉を、例えば同盟国の首都ワシントンで上下両院議員を前に発しうるのか。

小才が効き、機を見るに敏な枝野氏のことだから、軽蔑されると分かっている場では、違った物言いをするのだろう。

つい数年前まで政権の座にあった、野党第一党の幹事長が、安全保障の基本に関わる問題で、日本国内の政治的ポイント稼ぎ(それも、予算審議を若干遅らせるというきわめて矮小なポイント)にしか使えない議論を口にして恥じない辺り、民主党という集団の平均的資質の低さを感じざるを得ない。下に関連記事を引いておく。

「我が軍」発言で首相、野党追及に自ら幕引き

安倍首相が今国会で自衛隊を「我が軍」と答弁し、野党が反発している。

首相は30日の衆院予算委員会で「他国の軍と対比するイメージで自衛隊を我が軍と述べた。それ以上でもそれ以下でもない」と説明したが、度重なる追及に「大切な予算委員会の時間がこんなに使われるのであれば、そういう言葉は使わない」と述べ、自ら幕を引いた。

発端は20日の参院予算委で、維新の党議員から自衛隊と他国軍との共同訓練について問われ、首相が「我が軍の透明性を上げていくことにおいて、大きな成果を上げている」と述べた答弁だ。野党側はこれを批判し、その後の国会論戦で執拗しつように取り上げてきた。

野党はこの日も発言を問題視したが、首相は「国際法上、軍として取り扱われるものだ」とした上で、民主党政権時代の2011年に一川保夫防衛相(当時)が「外国から攻められれば戦うという姿勢だから、そういう面では軍隊という位置づけでいい」と国会答弁したことも指摘した。
読売 2015年3月31日

首相「わが軍」答弁に菅氏「まったく問題ない」 民主・枝野氏は批判

民主党の枝野幸男幹事長は25日の記者会見で、安倍晋三首相が国会で自衛隊を「わが軍」と答弁したことについて「憲法に陸海空軍その他の戦力を持たないと明記されている。説明がつかない」と批判した。「わが国の自衛隊であり、安倍さんのものではない」とも語った。

これに対し、菅義偉官房長官は同日午後の記者会見で「まったく問題ではない。外国の軍隊との共同訓練の質問があり、その流れの中で言った。すぐに『自衛隊』とも言っている」と反論。「自国の防衛を主たる任務とする組織を軍隊と呼ぶのであれば、自衛隊も軍隊のひとつだ。自衛隊は一般的に国際法上は軍隊に該当する」とも説明した。……
産経 2015年3月25日