オバマ米大統領が訪れた広島の平和記念資料館(原爆資料館)に、外国人も含め来場者が増える傾向にあるという。その入り口近くに「直接被爆者」という説明プレートがある。そこに、「日本国内の労働力を補うため、朝鮮から強制的に徴用され、軍需工場などで働いていた」数万人にのぼる朝鮮半島出身者もいたと記されている。
産経新聞の加藤達也記者に教えられた。この問題をめぐる同記者のコラムは下記で読める。私のコメントも引用されている。
http://www.sankei.com/world/news/160605/wor1606050009-n1.html
参考のため、プレートの英文全文を掲げておく。
《It is estimated that approximately 350,000 civilians and military personnel were directly exposed to the A-bomb explosion on August 6, 1945.These included tens of thousands of Korean workers and their families who, due to the labor shortage, were brought by force to Japan to work in military factories. Others were students from China and Southeast Asia, and American prisoner of war.》
最後の、中国や東南アジアからの留学生、アメリカ人捕虜もいたとの記述は、「残虐な侵略国家日本」という誤ったイメージを修正し、当時の多面的状況を知る上で適切だと思う。
問題は加藤コラムにもあるが、《were brought by force to Japan》の部分である。単に「徴用され」で必要十分であり、日本語版の「強制的に」とそれに対応した英文版の《by force》は削除すべきだ。
鄭大均氏は、戦時徴用を「強制連行」とする歴史認識を批判し、《エスニック日本人の男たちは戦場に送られていたのであり、朝鮮人の労務動員とはそれを代替するものであった》とし、《「不条理」は、エスニック朝鮮人のみならず、この時代の日本国民に課せられた運命共同性のようなものであり、したがって「強制連行」などという言葉で朝鮮人の被害者性を特権化し、また日本国の加害者性を強調する態度はミスリーディング》だと論じている。
その意味で、原爆資料館の説明プレートは明らかにおかしい。オバマ大統領の「謝罪」が不十分云々の前に、日本自らによる誤った歴史認識の拡散を止めねばならない。
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