昨年12月28日に日韓両政府が結んだ「従軍慰安婦問題を最終かつ不可逆的に決着させる」日韓合意は、必ずや反古と化すだろう。すでに最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)代表は同日の党最高委員会議で「国会の同意がなかったので無効」と宣言し、同党の李鐘杰(イ・ジョンゴル)院内代表も記者団に「わが党は今回の交渉について、現在はもちろん、今後、政権を執ることになったら、なかったことにする」と語っている。今年4月13日の総選挙で保守系与党のセヌリ党は惨敗、共に民主党が国会第一党となった。来年の大統領選では共に民主党が擁立する候補が当選する可能性は高い。
言論NPOなどによるアンケート(7月20日)で、日韓合意を「評価する」と答えた韓国人はわずか28・1%だ。韓国の大勢は圧倒的に反日韓合意なのである。
▼2月24日、「強制連行で慰安婦にさせられた少女の生涯」を描いた映画『鬼郷』が公開、観客動員数350万人以上
▼6月9日、日韓合意無効を掲げる「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶財団」が発足
▼6月17日、「軍艦島に強制徴用された朝鮮人の悲惨な強制労働と島からの脱出行」を描いた映画『軍艦島』がクランクイン
▼7月21日、元慰安婦らが生活安定支援を軸とする特別法制定の請願書を国会に提出
▼8月30日、元慰安婦らが日韓合意で精神的苦痛を被ったとして、政府に1人当たり1億ウォン(約910万円)の損害賠償を求めソウル中央地裁に提訴
▼8月30日、野党・正義党が、日本拠出10億円の受け取り拒否と日本大使館前慰安婦像を撤去しないよう政府に求める決議案を国会に提出
▼9月29日、ソウル市が慰安婦像の移転・撤去には、市民・専門家・市職員からなる審議会の許可を必要とする改正条令を施行。
日韓合意を受けた海外の報道は、私が目を通した限り「日本政府がやっと性奴隷化を認めた」との断定で共通していた。米カリフォルニア州グレンデール市の慰安婦像撤去を求める訴訟も連邦高裁で敗訴している。当事者の韓国が退くわけもない。「強制連行=性奴隷化」説が朝日新聞の誤報表明で崩壊したのは、日本だけに起きたことなのである。
日本が10億円を韓国政府設立の「和解・癒やし財団」に拠出した(8月31日)ことで、慰安婦問題が韓国の国内問題となったのは確かなことだ。が、やがて合意が反古化され、元の木阿弥となる日がやって来るのでは……そう思わずにはいられない。
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