安倍晋三首相の前には、天皇陛下のご譲位、総選挙、憲法改正の発議と国民投票など重要な課題が山積する。これらの課題を成し遂げるには、今年秋から再来年の平成31年までがチャンスだと、産経新聞の名物記者、黒シャツ姿がトレードマークの石橋文登政治部長が指摘する。私も同意見だが、皆さんはどう思われるか。
日本国の基本的在り方を守りつつ、天皇陛下のご譲位への思いに応える方法として、政府は今上陛下一代限りのご譲位を整える方向で準備を始めている。ご譲位という大きな方向は定まったが、それを成し遂げる手段は特例法か、皇室典範改正か。皇室のお考え、民進党はじめ野党の考え、世論の声など現時点では必ずしも完全な合意があるわけではないが、この件だけは争いのないようにつつがなく成し遂げなければならない。
●今秋には総選挙の可能性
ご譲位問題は5月にも形を整えるとして、次なる安倍政権の課題は憲法改正である。首相は新年1月5日、自民党仕事始め式で新しい時代に相応しい日本国憲法の「姿形を私たちが作っていく年にする」と決意を表明した。そのためには今年秋、総選挙を打たなければならないと、これは首相周辺の複数の人々が指摘する点だ。
平成31年は参議院選挙、32年は2020年で東京五輪、33年は安倍首相が任期を3期務めるとしてその最後の年になる。31年から33年の政治日程を見れば衆議院解散にも憲法改正にも落着いて取り組める状況ではない。憲法改正に向けて、国会論戦、両院による発議そして国民投票のための時間がとれるのは、今年から再来年の参院選の前までしかない。その前に、今年秋、首相が総選挙を打つ可能性は高いと複数の関係者が述べていることにはすでに触れた。
●国会は危機感を共有せよ
自公両党ですでに衆議院の3分の2を確保しているのに、なぜ、また総選挙か。橋下徹氏を国政に参加させ、改憲勢力としての日本維新の会の存在感を高め、それによって憲法改正に必ずしも乗り気でない公明党に協力を促す計算だという。
それにしてもいま国際情勢は先が見通せない程変わりつつある。中国がいつ尖閣諸島に上陸しても不思議ではない状況下で、選良たちが国を守るための力を整えるべく、憲法改正に取り組むのは最低限の責任であろう。また改正の焦点は、9条2項であろう。
2項を削るか、3項を書き加えて、自衛隊が憲法で認められていない現状を解消することなくして日本は生き残れない。この危機感を共有できないとしたら、選良たる資格はないのではないか。