10月の解散・総選挙が確実となったことで、民進党がまた性懲りもなく共産党との選挙協力に舵を切ろうとしている。人間の体で大事なのは免疫力だといわれるが、国民も、労働組合も、野党も、共産党に対する免疫力の低下が著しいようだ。
共産党は他の政党と、生まれも、育ちも、性格も、まるで違う。これを忘れてはいけない。猫なで声で近寄ってきても、指には鋭い爪が隠れている。
●実体は革命目指す秘密組織
共産党の小池晃書記局長は「私の顔を見て、暴力革命の党に見えますか」とうそぶくが、騙されてはいけない。事実上のドン、不破哲三前議長は、7月19日の共産党創立25周年の記念日講演会でも、綱領も規約も変更しないと明言している。
まず「性格」を見よう。政党の性格判断は簡単だ。規約を見ればいい。共産党の規約は「民主集中制」が原則と書いてある。上意下達。上の命令が絶対で、下部は従うだけ。それだけでない。仲間同士の横の連絡は取らせない。これは党を出た兵本達吉氏や筆坂秀世氏らが明言している。
縦糸だけでつながり横糸は結ばせない。どうしてか。革命のための秘密組織だからだ。戦前からの惰性でもあろう。捕まると一網打尽にされるので、組織を見えないようにしている。スパイ組織、いま風に言えば、振り込め詐欺グループとそっくりのやり方だ。トカゲのしっぽ切りで、生き残るためだ。
●政党助成金拒む本当の理由
そこから党大会のやり方も当然違ってくる。マスコミに全面公開はしていない。その上、大事なことは、役員人事は選挙にはよらない。しても承認・確認だけだ。すべて執行部のお手盛り人事である。
会計報告もない。党の内情を嗅ぎ付けられるのが嫌だからだろう。共産党が政党助成金を受け取らない理由の一つは、それによって党会計にメスが入るのを嫌ってのことではないかと筆者は疑っている。
なにせ、他の政党とは「性格」が違うのだ。理由は明瞭。「革命」政党だからだ。昔の規約にあった「前衛」という看板はさすがに下ろしたが、暴力革命を含む革命政党だからこそ、秘密主義になるのだ。ある意味で、公明党も似たような体質があるが、「革命」を目指しているわけではないから違う。
●護憲でも「自衛隊は解消」
いまの共産党綱領は、不破綱領とも呼ばれている。2004年に制定した。ここでは、現行憲法の全条項を守ると明言している。ただし9条堅持には、「自衛隊は解消」と注がついている。同じ「護憲」といっても、自衛隊を容認するか、否定するかで、まるで違う。共産党は、「護憲」の地引網で丸ごと引っさらおうとしているかに見える。「九条の会」などはそのための道具だろう。
「革命」は党綱領で明言している。「民主主義革命」「社会主義革命」と。その上、「生産手段の社会化」とある。私有財産制をとる現行憲法で、そんなことが出来るはずがないにもかかわらずだ。
問題は「革命」の方式だ。議会制民主主義体制下の政権交代以外に、「暴力革命」にも余地を残しているからだ。それが1961年綱領以来の「敵の出方論」だ。革命は議会を通じてだけでなく、相手次第では、暴力も振るうぞ!ということである。
●優しい顔をしたオオカミ
不破前議長は上述の記念講演でわざわざこれに言及。革命論で「4・29論文」を忘れるなといった。やはり言ったな、と筆者は思った。この論文は「敵の出方論」である。つまり「革命」それも「暴力革命を含む革命」を忘れるな、と言ったのだ。その上、綱領も、規約も今後とも堅持すると言っている。小池書記局長の発言に騙されてはいけない。やさしい顔をして狼は近づいてくるのだ。
社会党時代も、国政での社共選挙協力はなかった。民進党から、離党者が相次ぐのも当然だろう。
世界の民主主義国で、共産党が大きな顔をしているのは日本しかない。1991年のソ連崩壊で共産主義者は壊滅的打撃を受けた。ユーロコニュミズムのチャンピオンだったイタリア共産党の如きは党名も綱領も変えたが、いまや壊滅的だ。
貧すれば鈍する。票乞食になったら政治家も政党もおしまいだ。