公益財団法人 国家基本問題研究所
https://jinf.jp/

国基研ろんだん

2022.09.15 (木) 印刷する

原発の有効活用こそ日本に必要 髙木毅(衆議院議員)

私の地元である福井県は日本最多の原子力発電所が立地しており、私はまさに原子力とともに育ったと言っても過言ではない。現在は、2011年に起きた福島第1原発事故の約2年後に設立した自民党の電力安定供給推進議連で事務局長を務めている。

多くのエネルギー調達を海外に頼る日本にとって、原子力は日本の技術を結集した国産エネルギーと言える。安定供給が可能で経済にも大きく貢献できる上、昨今、顕著な課題となってきた地球温暖化や気候変動対策、すなわちカーボンニュートラル政策にも寄与する。

私は原発事故への反省を深く心に留め置きながら、かけ替えのない資源として原子力の適切利用が必要不可欠だと訴えてきた。政府もようやくグリーントランスフォーメーション(GX)実行会議を立ち上げ、いよいよ原子力を有効利用する方向に一歩動き出した。スピード感を持って作業に当たっていただきたい。

リプレース・新増設を歓迎

それにしても、原発の再稼働が遅れていることはまさに国益に反する。原子力規制委員会の審査は十分すぎるほど慎重に行ってもらわなければいけない。だが、人材確保と並行し、事業者としっかり連携しながら速やかに審査していただき、再稼働を進めることが重要だ。また、原発の運転期間は一度だけ20年の延長ができるが、原則40年とされている。しかし、運転を停止している炉内は中性子による脆化は起きないと言われている。こうしたことにも考慮しつつ、有効に長く利用していくことを視野に入れなければならない。

小型モジュール原子炉(SMR)といった技術の開発や、安全性を高めた軽水炉によるリプレース(建て替え)や新増設を念頭に置く必要性も指摘しておきたい。岸田文雄首相もそうした発言をされているが、私は議連で累次にわたりこれらの問題に取り組んできた。ようやく政府もそういう方向に舵を切りつつあり、歓迎するところだ。半世紀以上にわたり、福井県は日本、特に関西地方の生活や産業を支えてきた自負がある。地元の首長をはじめ、多くの方がそうした政府の考え方を歓迎している。

日本復権への貢献

目下、日本はさまざまな課題を抱えている。人口減少による国力の衰退が懸念され、国際社会での競争力も残念ながら落ちていると言わざるを得ない。今こそ、全ての資源、技術、知恵を総動員し、日本を復権させなければならない。そのために原発は大きく資すると信じている。安全を第一に据えながら、今ある資源を適切に利用していくことが肝要だ。(了)