「極右審判、李在明(大統領)牽制、保守再建」。これが6月3日の韓国統一地方選挙に表れた選挙民の声だった。選挙結果は、日本の都道府県にあたる16の市・道の市長・知事選で、与党「共に民主党」が12、野党「国民の力」がソウル市長を含む4つを取った。当初は、与党が15取るという予想があった中、野党が踏ん張ったことになる。同時に行われた国会議員補欠選挙では与党が9、野党が4、保守系無所属が1だった。
極右勢力への審判
内容を見ると、不正選挙陰謀論(韓国の国会議員選挙に外国の介入による不正があったという主張)を盲信し「尹錫悦(前大統領)アゲーン」を叫ぶ極右の支持を得てきた張東赫党代表ら野党執行部にとっては惨敗だった。最大の決戦地であったソウル市長選で当選した呉世勲氏は、張代表の極右路線を公然と批判し、独自の選挙運動を展開した。また、張執行部によって党から除名された元党代表の韓東勲氏が釜山の国会議員補欠選挙で当選したことの意味も大きい。韓氏は、李在明大統領の側近の与党候補と、張代表が韓氏を落とすために立てた野党候補との三つ巴の戦いを制して勝利した。ソウル市長選と釜山の補欠選挙の結果は極右勢力への審判という意味があった。張代表が応援に行った地域では首長・地方議員選などで野党候補が大敗し、応援に行かなかった地域ではかなり当選した。朝鮮日報はその結果を分析して、張代表を「あの世からの使い」と呼ぶ記事を掲載した。
李大統領への牽制
当初、圧倒的勝利が予想された与党が支持率を落としたのは、与党が李在明大統領の刑事訴追を取り消させるための新法を国会に上程したことの影響が大きかった。世論の強い反発で与党は法案処理を統一地方選後に延期した。その後、1980年5月に起きた光州事件の被害者の神経を逆なでするセールを行ったとの理由で、大統領が先頭に立って私企業であるスターバックス不買運動を行った。スターバックス側に配慮不足があったことは事実かも知れないが、政府が私企業の営利活動を弾圧する姿は、やはり良識的な保守、中道派の反感を買った。それがソウルで与党が負けた大きな理由だった。
保守再建への始動
極右と戦う良識的保守は今回の選挙で呉ソウル市長と韓議員という2人のリーダーを誕生させた。この2人は保守陣営の有力な次期大統領候補に浮上した。「国民の力」は選挙後、韓氏を支持する良識的保守派、選挙の責任をとらず続投を表明した張代表を支持する極右派、張代表を交代させて新たなリーダーを模索する極右派の3つに分裂したが、極右派の力が顕著に落ちたことは間違いない。韓氏は「憲法と事実と常識を尊重する保守を再建し、李在明政権の暴走を牽制する」と公約して当選した。呉氏や韓氏に代表される良識派が極右によってガタガタにされた保守を再建できるかどうかが、韓国政治の今後を左右するカギとなる。(了)




