ハワイ大学歴史学部のジョージ・アキタ名誉教授は11月8日、国家基本問題研究所で、ブランドン・パーマー・コースタルカロライナ大准教授との共著「日本の朝鮮統治を検証する1910-1945」(草思社出版)について背景説明を行い、同研究所の企画委員と意見交換した。アキタ名誉教授は、共著本が最近出版されたのを機に日本を訪れていた。
アキタ名誉教授は1926年、ハワイ生まれの日系二世。ハワイ大やハーバード大、同大学院で東アジアの政治、歴史を専攻した。
「私も当初、日本は朝鮮に悪いことをしたという通説を信じていた」と語り始めたアキタ名誉教授だったが、共著者パーマー準教授の朝鮮の徴兵制についての著書を読んだのがきっかけで、通説を疑うようになったという。
日本に対する偏見を植え付けたのが連合国軍総司令部(GHQ)のカナダ人外交官・歴史家、ハーバート・ノーマン(のちにエジプトで自殺)で、ノーマンを崇拝した二人の歴史学者、ジョン・ダワー(マサチューセッツ工科大学教授)、ハーバート・ビックス氏の二人が偏見を広めたという。二人は、「敗北を抱きしめて」「昭和天皇」の著書で、それぞれピューリッツア賞を受賞している。
対日偏見を除去するため10年をかけて共著本の出版にこぎつけた。日系人として色眼鏡で見られるのを避けるため、引用した論文、論拠とした報告書など日本人のものは避けた。日本からは「一銭も受け取らなかった」と名誉教授は語っている。
共著本はまず日本語に翻訳され出版されたが、英語本も来年1月には発行の予定という。
(文責 国基研)