公益財団法人 国家基本問題研究所
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2018.03.09 (金) 印刷する

「インドのVIF研究所と国際会議を開催」

 3月7日(水)、国家基本問題研究所は、インドのシンクタンクであるビベカナンダ国際財団(VIF)の所長グプタ博士他3名の研究者を招き、日印2国間の国際会議を開催した。本会議は、日印の研究所間の交流を図り一定の研究成果を得るため継続的に実施しているもの。前回はインドのVIFに赴いたことから、今回はわが国で実施することとなり、当日の開催にいたった。また、新事務所に移転し拡大された事務所内の会議室では、初めての国際会議の実施となった。

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会議は、主催者を代表して櫻井国基研理事長から開催挨拶を、VIFを代表してグプタ所長から、意義ある会議への期待表明があり、その後インド側参加者の自己紹介からスタート。

まず、第1セッション開始前、現在進行形で変化しつつある朝鮮半島情勢について、西岡企画委員から短めに報告。緊張感が伝わるレポートは、改めて隣国の動向に対する注意喚起となった。

第1セッションでは、国基研から冨山企画委員が、安倍総理の提唱するインド太平洋戦略と日印米豪4カ国協力の重要性などに関し発表、その後質疑応答となった。インド側の質問は、例えば安倍総理のインド太平洋における4カ国協力の真意を知りたいなど、外交上の文言では表現されない部分に踏み込み、奥の深い議論となった。

休憩をはさみ午後からは第2セッション、インド側からワドワ元駐伊大使(御婦人が元駐日大使)がモディ政権による中国の「一帯一路」政策への対応で、インドはいかなる主権侵害にも与しないなどと発表、その後質疑応答となった。日本からのコメントとして、中国の急激な軍拡がインド洋の安定に多大な影響を及ぼす懸念や、「一帯一路」は実は「六帯三路」であり、大洋州や北極海を見過ごしてはならないなど、多彩な意見が出た。

予定の時間を過ぎても議論は続き、最後にグプタVIF所長は、研究所の名前の由来であるインドの偉大な哲学者ビベカナンダの足跡を紹介した。彼は、1863年に生まれ1902年に没するまで、世界の宗教を哲学的視点で見つめ、西洋諸国に精神面で与えた影響は大きいという。若いころに世界各地を巡り、日本にも滞在している。帰国後インドの若者に対し「日本人は愛国心が強い。犠牲的精神もある。英国より日本に留学すべき」と言ったことにも触れ、会議参加者の興味を引いた。

会議終了後、次回の日印対話はインドで行い、今後とも継続していくことが重要という点でも意見の一致を見て対話の日程を終えた。

ちなみに、今回来所したグプタ所長は、元インド国家安全保障担当副補佐官という経歴を持ち、インド政府とも関係が深い。

(文責 国基研)

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