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2019.11.01 (金) 印刷する

「中国経済と米中ハイテク冷戦の行方(続々)」 津上俊哉・国問研客員研究員

 11月1日、国基研企画委員会は、ゲストスピーカーとして、現代中国研究家の津上俊哉氏を招き、「中国経済と米中ハイテク冷戦の行方(続々)」と題し、第3四半期の成長率が発表された中国経済を分析し、櫻井理事長をはじめ企画委員らと意見交換した。

【概要】
 まず津上氏は、中国経済の現状を概観した。
 先ごろ2019年第3四半期の成長率が6.0%と発表された。すべてを鵜呑みにはできないが、確実に成長率は低下しているのだという。さらに、規模が日本の経済に見合うほどの中国北半分が、マイナス成長に陥っている可能性も指摘した。
 中国経済はバブル後遺症期6年目に突入し、バランスシート修復のため地方政府が推進する公共投資策は、すでに限界に達している。なぜ、ここまでの状況に追い込まれたかというと、政府が圧倒的な経済支配力と財力によって「見えざる保証の手」をさし伸べてきたからで、それが更なるバランスシートの悪化を助長したという。
 さらに、少子高齢化が進展し、今後圧倒的な年金債務問題に直面すると予測する。2014年には一人っ子政策を緩和したが、時すでに遅く、労働人口の減少が始まり、2023年頃からは総人口が減少するという。
 一方、経済が低迷すると軍事費も当然に抑えられる傾向が見られるとも。中国の国防費は名目GDPの一定割合で推移する。したがって、成長が低下すると、伸び率も抑えられる。いまや中国の財政支出は半分が民生予算で、国防費を縮小させないために民生予算を抑えると、内政不安定化の要因となることから、それはできないだろう。
 「一帯一路」政策については、イメージと実像にはギャップがある。2015年以前は放漫融資の結果、多くの案件が不良債権化し、「貸した金が返らない」と多くの国民から批判を受け、以後、融資姿勢が慎重になった。
 他方、「米中貿易摩擦」の解決は遠い。貿易協議は6月の大阪サミット後、迷走をする。サミットで休戦合意をしたにもかかわらず8月には、米側関税引き上げ第4弾が発動された。今月予定されていたチリでのAPECは中止となり、首脳会談での交渉さえ見通せなくなっている。
 米国の対中強硬策の一つにファーウェイ製品の締め出しがある。現状5Gからファーウェイを排除するのは得策ではない。なぜなら、ファーウェイに5Gネットワークへのアクセスを部分的に認める、あるいは排除しないという国が大多数だからだという。
 それでは、このまま監視社会になることを容認するのか、ということではない。ビッグデータを利用したネット社会化は中国に限った話ではなく、これは21世紀の人類社会全体の問題なのだ。 (文責国基研)

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