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2022.08.23 (火) 印刷する

「激動する国際情勢と日本」 田久保忠衛副理事長が名古屋で講演

盛夏の8月22日、国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)は、通算8回目となる名古屋での講演会を、名鉄グランドホテルにて開催した。

今回の講師は国基研副理事長で杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏、司会は黒澤事務局長が務め、約1時間半の講話に続き30分の質疑応答という時程で進行。

講演に先立ち櫻井理事長より、本日ご参加の皆様への来場のお礼とともに、今後も国基研と一緒にこの国難に立ち向かう具体策を考えていきましょう、との力強いビデオメッセージが寄せられた。

引き続く田久保氏の講演は、冒頭から熱気を帯び始まった。

まず取り上げたのが、物事を判断する際に気を付ける3つのこと。すなわち、大局観で見る、陰謀論に与しない、個人の体験を国家の問題に一般化しないことを、実体験を交え説明した。

次は現下の国際情勢について。米ソ冷戦から始まる2極対立がソ連の崩壊で米国の1強時代に入り、その後米国の衰退と中国の急激な台頭という大きな流れの中で、現在の鎬を削るような米中対立構造を捉えた。

その後、この激動の国際情勢の中にある日本を、同じ敗戦国であるドイツと比較した。戦後、軽武装経済大国という道を歩んだ両国だが、ロシアのウクライナ侵略がドイツの態度を大きく変えた。国防費のGDP比2%を掲げ、ウクライナに攻撃兵器の支援を実行した。いまだヘルメットや防弾チョッキ支援に留まるわが国とは格段の違いを見せる。

最後に、自由で開かれたインド太平洋戦略を打ち出し、QUADを主導した安倍元首相の外交戦略を岸田政権が踏襲し、早急に憲法改正を実現することを強く求めた。

講演中、名古屋を始め大垣、浜松、滋賀から参集した約100名の来場者は、講師の話に食い入るように聞き入っていた。続く質疑応答では、ウクライナの今後、台湾海峡危機、沖縄の県民意識、憲法改正などの質問が相次ぎ、来場者の時事問題への関心の高さが伺えた。

国基研は、今後もこのような機会を設け、活動の範囲を広げていく所存である。(黒)

【講師略歴】
昭和8(1933)年千葉県生まれ。早稲田大学法学部卒。時事通信社で那覇支局長、ワシントン支局長、外信部長、編集局次長などを歴任。杏林大学社会科学部教授、同社会科学部長、同大学院国際協力研究科長などを経て、現在名誉教授。法学博士。正論大賞、文藝春秋読者賞を受賞。産経新聞社の「国民の憲法」起草委員会委員長を務めた。著書は『戦略家ニクソン』『新しい日米同盟』『激流世界を生きて』『憲法改正、最後のチャンスを逃すな』など多数。