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2023.11.03 (金) 印刷する

第16回 会員の集い「中国覇権戦略『100年マラソン』再考」 開催

国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)は、11月3日、通算16回目となる会員の集いを、都内のホテルニューオータニで開催。今回は3連休の初日、しかも朝10時からのシンポジウムとあって参加者には早起きの負担をかけたものの、予想以上の反響で、引き続く懇親会も盛況のうちに無事終了した。

マイケル・ピルズベリー博士

国際シンポジウムは「中国覇権戦略『100年マラソン』再考」のテーマで定刻に開始。冒頭に木原稔防衛大臣からのビデオメッセージを上映した後に、ヘリテージ財団上級研究員で米国の対中政策に影響を与えてきたマイケル・ピルズベリー博士による基調講演。その後、北村滋前国家安全保障局長および田久保忠衛副理事長がそれぞれ発表し、櫻井よしこ理事長の司会で登壇者討論、質疑応答が行われた。

まず基調講演でピルズベリー博士は、自著『China 2049』(原題“The Hundred Year Marathon”)を基に、これまでの米国の対中政策を概観した。特に中国を現在のような大国にしてしまったのは米国の政策があったからだと主張。その陰には、インテリジェンスの失敗や中国に対する思い込みなどが作用したという。

引き続き、北村氏が、情報の失敗という点に着目して説明。これまで米国の外交政策での大きなブーメランの一つは、対中関与政策により結局人民解放軍を巨大化してしまったことである。他方、日本はすでに尖閣沖衝突事案で中国とのハイブリッド戦に負けた経験があり、それぞれ奇禍とすべきであるとした。

それを受け、田久保副理事長は、ピルズベリー博士が米国の関与政策は失敗だったということを取り上げ、ソ連を崩壊させた点で半分は成功したと応じた。あと半分の目的である中国の民主化は失敗したが、これからの米国は関与と封じ込めの、いずれを選択するのか、と大きな疑問を提示した。

続く討論でピルズベリー博士は、米国の対中政策が軍同士の対話窓口さえ閉じるような封じ込めに舵を切る中、軍対軍のホットラインを持つ日本の貢献は欠かせないとした。ただし北村氏は、中国は強固な日米同盟に対し、常に楔を打ち込もうとする、と警鐘を鳴らした。そして、田久保副理事長は、強固な日米同盟は結構だが、米国と日本が真の同盟関係となるためには、「神道」「靖国」「皇室」「核」などの問題を米国が理解する必要があると釘を刺した。

その後フロアーで待機する国基研役員などから鋭い意見・質問が出され、熱い議論が展開され、終了時間を超過しても続いた。櫻井理事長は最後に、ピルズベリー博士が日本に提唱した「本土防衛」を確実になすためには、日本自身の手で憲法を改正していくことが喫緊の課題だとし、国際セミナーを総括した。

この模様の詳報は、後日配信しますので、ご期待ください。(了)