公益財団法人 国家基本問題研究所
https://jinf.jp/

最近の活動

  • HOME
  • ニュース
  • 『佐渡鉱山に動員された朝鮮人147名の「被害者申告書綴」分析』 李宇衍・落星台経済研究所研究委員
2025.12.01 (月) 印刷する

『佐渡鉱山に動員された朝鮮人147名の「被害者申告書綴」分析』 李宇衍・落星台経済研究所研究委員

韓国の李宇衍・落星台経済研究所研究委員は、11月28日、国家基本問題研究所企画委員会にて、李氏と旧知の西岡力・企画委員の韓国語通訳で、佐渡鉱山に動員された朝鮮人の「被害者申告書綴」を詳細に分析した結果を報告し、その後櫻井理事長をはじめ企画委員らと意見交換を行った。

【李氏報告の概要】
廬武鉉政権時代に歴史清算の一環として戦時朝鮮人労働者に対する強制動員調査・支援(慰労金などの支給)が実施された。その政策は2004年から2015年にかけ、3本の法律(2004年の真相究明特別法、2007年の国外支援法、2010年の調査・国外支援特別法)のもとに行われた。

まず被害者の申告が2004年から2008年にかけ行われ、その申告書をもとに被害者の認定と慰労金・支援金の支給が開始され、2015年に全ての活動を終了した。その活動の資料として「被害者申告書綴」がある。佐渡鉱山での被害を申し出たのは147名であり、支給された金額には個人差があるが、慰労金と支援金を合わせ1件当たりの平均は約850万円であった。

今回、佐渡鉱山に動員された朝鮮人147名の「被害者申告書綴」を分析し、その陳述が歴史的事実と一致するのか、当時の環境から陳述に整合性があるのかなどを検討したところ、以下のことが判明した。

佐渡鉱山への渡航は、自由渡航(1930年7月~1940年1月)が27人(20.0%)、戦時動員のうち募集(1940年2月~1942年3月)が50人(37.0%)、官斡旋(1942年4月~1944年8月)が51人(37.8%)、徴用(1944年10月~1945年4月)が7人(5.2%)であった。

徴用とは関係のない自由渡航(出稼ぎ)の期間に渡航した人のうち、強制動員、強制徴用、徴収や連行されたといった強制性を主張した人は27名(63%)、募集の期間で強制性を主張した人は39名(78%)、官斡旋の期間では、43名(84%)という高率である。強制とは無縁であるはずの渡航者であっても、日本渡航の強制性を訴えるという傾向がみられた。

その他、労働環境の良し悪し、死亡者の噂、賃金の多寡(賃金を受けなかったが朝鮮に送金したと回答、賃金を得て朝鮮に田畑を購入と回答)などの各陳述には一貫性が見られず、歴史的事実との整合性に疑義が認められた。他方、タバコと酒に関しては、全員が購入して利用したという陳述では一貫していた。

また、渡航者のうち家族生活者(朝鮮から家族を呼び寄せて生活していた労働者)が24名いたが、そのうち20名が動員の強制性を陳述していた。しかし家族まで呼び寄せ、子供の出産まで許されていたことを、強制と主張することには矛盾がある。

総じて、労働の実態と合致する経緯を陳述した事例は稀で、同一の事業所であっても異なる証言が散見された。その理由は二つあるが、共通点は金銭である。
まず1957年~1958年の韓国労働庁の調査で「被徴用者」の申告で「倭政時被徴用者名簿」作成の経験である。この時期韓国政府は日本政府と国交正常化交渉中であり、徴用者数に募集や官斡旋まで含め請求金額を水増しした経緯がある。その結果、徴用に募集や官斡旋も含まれるという国民意識が形成され、歴史歪曲が定着したのである。
加えて、申告する際に金銭的補償を要求できる被害を主張するため、強制徴用や強制動員などと主張したのである。その多くの人たちは強制徴用という言葉も知らなかったが、補償金をもらえる手段として「強制」を利用したと考えられる。

結果的に、韓国政府が歴史の嘘を国民に強制し、定着させたということである。歴史の歪曲は許されない。

【略歴】
1966年、韓国全羅南道光州生まれ。2000年、成均館大学経済学科で「朝鮮時代、植民地期山林所有制度と林相変化に関する研究」で博士学位取得。2001年、ハーバード大学訪問研究員、2005年から2021年まで落星台経済研究所研究委員、2017年には九州大学韓国研究センター客員教授を務めた。昨年、西岡力著『でっちあげの徴用工問題』を韓国語に翻訳した功績で日本研究特別賞を受賞した。
著書には『反日種族主義』(共著、未来社、2019年)、『ソウルの中心で眞實を叫ぶ』(扶桑社、2020年)などがある。(文責 国基研)