2015年2月23日、国連安保理の場で、近現代史をめぐり日中間のやり取りがあった。
中国共産党政権の王毅外相による、暗に安倍首相を指した「反ファシスト戦争での歴史の事実は明らかだが、いまだに真実を認めたがらず、審判を覆そうと試み、過去の侵略の犯罪をごまかそうとする者がいる」云々の発言に、日本の吉川国連大使が応答している。
正面からの踏み込んだ反論ではない。しかし、中共にとって「目にしたくない」言葉である人権蹂躙(human rights violations)、法の支配、民主化などを繰り返し用いており、悪くない。
日本の「過去」についても、「第二次大戦に関する深い悔恨の念に基づいて」(based on feelings of deep remorse regarding the Second World War)と、時期を限定し、かつ日本一国侵略史観に陥らない表現にとどめている。
中国におけるテロの横行や朝鮮の無責任政治、ルーズベルト政権の左傾反日外交、ソ連の工作活動・侵略等々を捨象して、日本にのみ罪科を帰した村山談話(「植民地支配と侵略」云々)に比べれば遙かにましである。
外務省には、国際場裡において、最低限この線は維持してもらいたい。その上で、一歩、二歩と事実に基づいた反論を強めていくべきだろう。
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