公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

2015.08.17 (月) 印刷する

アムネスティの売春合法化方針と慰安所 島田洋一(福井県立大学教授)

 売春と人権の関係は単純ではない。下の記事にある国際人権団体アムネスティの新方針をめぐる論議がそのことを示している。
 現在、ソープランドで何が行われているか、誰でも知っている。一般の会社員、学生のみならず共産党員も憲法学者も利用している。政府も世間も黙認している。諸外国においても、営業形態こそ違え、内実は変わらない。
 かつての日本軍の慰安所利用は「女性に対する重大な人権侵害であり、現在の価値観からすれば許されない」といった綺麗ごとの建前論は、先人がもし生き返ったなら、「お前らよく言うな」と逆に「現在の価値観」の偽善が咎められよう。
 慰安所は当時も今も各国にある売春施設の一つであった、というファクトだけを怪しげな「現在の価値観」など交えずに淡々と提示するのが、先人の名誉を傷つけず、また反日勢力に足をすくわれない正道であろう。
 なお、下記、国基研「今週の直言」参照。
【第301回・特別版】慰安婦制度は人身売買に当たらない https://jinf.jp/weekly/archives/15963

《時事通信 8月15日
売買春合法化を「支持」=国際人権団体の決定が物議
 【ロンドン時事】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)が、売買春の合法化を支持する方針を決定した。
 性労働者の人権保護につながるという趣旨だが、反対派からは「(人権団体としての)信用性に傷が付いた」と批判の声が上がっている。
 アイルランドのダブリンで11日に開かれたアムネスティの総会には、70カ国から約400人の代表が出席。売買春のほか、売春あっせん、売春宿の経営を含む「合意の下での性労働に関わる行為」について、全面的に合法化すべきだとする決議を賛成多数で採択した。シェティ事務局長は「性労働者は世界で最も軽視された職業集団であり、差別と暴力、虐待の危険に常にさらされている」とし、合法化を目指す意義を強調した。
 世界中に700万人の会員・支持者を有し、国際的な発言力を持つアムネスティの今回の動きに対しては、他の人権団体や女性団体から非難が殺到。米拠点のNGO「女性の売買反対連合」は、総会に先立ち「搾取される者を守るために搾取する側を合法化するのは、筋が通らない」と批判する公開書簡を出し、米女優メリル・ストリープさん、英女優ケイト・ウィンスレットさんら多数の有名人も署名した。》