憲法改正発議のため国会に憲法審査会が設置されたが、議論は遅々として進まない。これは憲法9条を改正したくない民進党や共産党などが、立憲主義などいろいろな理由をつけて安倍晋三首相や自民党の憲法改正を阻んでいるからに他ならない。
政党間の憲法改正論議を聞いても、自民党ですら9条改正をはっきり主張しないのはどうしたことか。漠然とした憲法改正や広範な条文の改正を言っても、徒らに時間を浪費するのみで、喫緊の課題である9条改正はなかなか実現しない。ここは国民も一番関心を持っている9条改正に憲法審査会の議論を絞ったらどうか。
我が国に敵意を持つ周辺諸国にとっても日本の9条ほど安心安全なものはない。日本に対してどのようなことをしても、言っても、少なくとも我が国の自衛隊から攻撃される畏れはないからである。
昨年末のロシアによる国後島、択捉島への北海道東部をも射程に入れる新型ミサイルの配備、中国による近時の日本領海、領空への頻繁な侵犯、北朝鮮による日本人拉致や相次ぐミサイル発射、そして、韓国の竹島不法占拠、日本大使館・総領事館前への慰安婦像設置など、いずれも日本から攻撃される畏れがないから実行されたと考えるのは私一人ではあるまい。
仮に我が国がトランプ米新政権と在日米軍の負担額で揉め、米軍の一部撤退でもあれば、中国の尖閣諸島占拠、北朝鮮による我が国領海へのミサイル発射などの事態は十分考えられることである。
我が国への周辺諸国からの攻撃抑止のためにも、ここは是非とも9条改正を早急に実現すべきだ。
国基研ろんだん
- 2024.07.16
- NATOが見据える「戦争の常態化」 佐藤伸行(追手門学院大学教授)
- 2024.06.25
- インドの総選挙と連立政権 近藤正規(国際基督教大学上級准教授)
- 2024.06.17
- 国は戦死者の発生に備えよ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
- 2024.06.11
- なぜ北は韓国にゴミを送るのか 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授)
- 2024.06.10
- 河野氏は閣僚を辞任せよ 有元隆志(月刊「正論」発行人)
- 2024.06.03
- 日米台比越豪の連携で中国に立ち向かえ 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
- 2024.05.28
- 現代戦を国際法の視点で議論することの意義 黒澤聖二(元統合幕僚監部首席法務官)
- 2024.05.27
- 「専守」では防衛できないことが立証された 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
- 2024.05.24
- 台湾海峡は日本の生命線 岸信千世(衆院議員)
- 2024.05.22
- ウクライナ侵略戦争は反米枢軸を強化する 湯浅博(国基研企画委員兼研究員)