公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

2021.12.21 (火) 印刷する

憲法改正の日米比較 島田洋一(福井県立大学教授)

日本国憲法は、様々な点でアメリカ合衆国憲法をモデルとした(させられた)が、重要な違いも少なからずある。その一つが改憲規定である。

米国憲法では、「連邦議会は、両院の3分の2が必要と認めるときは、この憲法に対する修正を発議し」(ここまでは日本国憲法とほぼ同じ)と規定した後に、「または3分の2の州の立法部が請求するときは、修正を発議するための憲法会議を召集しなければならない」との一節が続く。

すなわち、中央政界が必要な動きを起こさない場合、地方から憲法改正を迫る、日本国憲法にはない第2のルートが用意されている。中央議会を通じた1ルートしかない日本国憲法のもとでは、国会議員が率先行動を起こす責任は、米国の連邦議会議員以上に大きいと言わねばならない。

33回発議し、27回成立

なお、アメリカで実際に第2のルートが使われた例はない。下から公式に突きあげられる前に、連邦議会が動いたからである。米国では、全国一律の国民投票ではなく、州ごとに賛否が問われ、4分の3以上の州議会が賛成した段階で改正案成立となる。連邦議会は憲法改正案を過去33回発議し、うち27回で成立している。

改憲のハードルの高さは、日米でほぼ変わらない。まともに憲法改正を議論しようとすらしない日本の国会に存在意義はない。