8月28日、今月の総合安全保障プロジェクト月次報告会を実施した。「台湾有事は日本有事」という言葉だけが独り歩きし、具体的に踏み込んだ議論は進まず、台湾の重要性が広く国民に共有されるには程遠い状況である。そこで今回、岩田副理事長が先週の企画委員会で発表した台湾の重要性の分析について、総合安全保障プロジェクトの中で報告会を設けた次第である。
岩田氏の報告を受け、プロジェクトの中核を担う吉田正紀・元防衛大臣政策参与(ワシントンからリモート参加)と中川真紀・国基研研究員が補足的に説明を加えた。

第1部は国会議員に向け、第2部は主要メディアに向け報告し、参加した議員、記者、企画委員らの質疑に応じた。以下、発表概要を簡単に紹介する。
【月次報告】
国会議員向け(午前8時~9時30分)、メディア向け(午前11時30分~午後1時)
【質疑応答】
Q: 米軍が台湾に関与するには余力が必要だが、イランとの戦闘で疲弊している現状で、十分な能力はあるのか。さらに米政権の意図についてはどうか。
A: 攻撃型トマホークの在庫は半分、防空のためのパトリオットミサイルも相当不足しウクライナへの供給も滞っていることは問題である。米シンクタンクの分析では、台湾問題に関与しないというワシントンの意図も観測され始めているので、今後の分析課題としたい。
Q: 自衛隊が台湾と軍事面で連携するための課題は何か。
A: 組織的な連携不足は否めない。そのため政治の決断が喫緊の課題である。防災という観点で連携は進んでいるので、そこから拡大していく可能性はある。
Q: 台湾の「平和統一」「政権交代」はコストが少なく中国にとって望ましい結果だと思うが、いずれも認知戦が仕掛けられている現状に、対抗できているのか。
A: ご指摘の通り中国の台湾に対する工作活動(認知戦)は現在進行形で大規模に浸透している。「平和統一」という言葉自体が、平和をイメージさせる認知戦の一環である点にも注意が必要である。台湾は現在、政権を担う民進党を中心に、反浸透法の法整備や官民で連携したファクトチェックなど、積極的に対抗している。日本としては、台湾に関与するという姿勢を見せることが、台湾の助けになることは間違いない。
Q: 具体的な日本の関与の方策について問う。
A: 最大の貢献策は米軍の関与を支援することである。加えて、早急に日台(日米台)調整メカニズムを構築し、平時から訓練を重ねておくことも重要である。
(文責 国基研)