公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2023年7月の記事一覧

体は男性、心は女性の経済産業省トランスジェンダー職員が女子トイレを使用させてほしいと要求したところ、勤務するフロアから2階以上離れた女子トイレの使用しか認められず、人事院に処遇の改善を求めたものの退けられたため国を訴えていた裁判で、最高裁はトイレの使用制限をした国の対応は違法だとの判決を出した。 この訴訟は個別事案であり、直ちに公共施設全体に適用されるものではないという補足意見は付いたが、既...

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英国は、脱炭素の切り札として原子力利用の政策を鮮明にし、中でも高温ガス炉に着目して、「新型モジュール炉(AMR)研究開発・実証プログラム」を進め、2030年代初頭までに高温ガス炉の実証炉の運転開始を目指している。 日本原子力研究開発機構(JAEA)と英国国立原子力研究所(NNL)のチームが、英国の高温ガス炉実証炉プログラムの基本設計を行う事業者として採択されたことが、7月19日に報じられた。...

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ドイツのオラフ・ショルツ政権は7月13日、ドイツ初の「対中国戦略」(以下「戦略」)を閣議決定した。 従来、ドイツにとって中国は、市場や投資先といったもっぱら経済的関心の対象でしかなかったが、2000年代の中ごろ、中国資本によるドイツ先端企業の買収を直接のきっかけに、政治、安全保障における負の側面も無視できなくなってきた。中国が権威主義の価値観と体制を強化し、グローバルな影響力を増大させるのに...

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インドとフランスの軍事協力が進んでいる。インドのモディ首相は7月14日、フランスの革命記念日パレードに主賓として招待され、同日マクロン仏大統領と首脳会談を行った。今年は「印仏戦略的パートナーシップ」の25周年に当たり、共同声明では、防衛・安全保障や経済、エネルギーなどの分野で協力を進めていくことへの相互認識が示された。併せて、印仏関係の今後25年間の将来を示す「ホライズン2047:印仏戦略パートナ...

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7月20日から4日間の日程で中露統合軍事演習「北方相互作用(Northern Interaction)2023」が日本海で実施された。今回の軍事演習は、これまでのように中露の軍艦が単に並行して航行するといったものではなく、二つの点で大きく進化していることが特徴である。一つ目は、日本海に面する基地を持たない中国人民解放軍が、ロシアのウラジオストク近郊にある航空基地にY20輸送機、KJ500早期警戒機...

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スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟は、トルコのエルドアン大統領が容認に転じたことで実現する運びとなった。バルト海のゴットランド島がスウェーデン領であることから、ロシアの飛び地であるカリーニングラードに司令部を置くバルチック艦隊への監視能力が高まり、かつバルト海がNATOの「湖」になるとするメディアの論調が多い。しかし筆者は、こうした地理的な利点に加えて注目すべき3点を指摘したい。 ...

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ロシアの軍事会社ワグネルがモスクワに反旗を翻した時、ロシアの「無制限」のパートナーである中国は、控えめな反応に終始した。予測不能なロシアに対しては、過去の経験から静観する方が妥当であるとの慎重な判断からだろう。ただ言えることは、習近平中国国家主席がプーチン・ロシア大統領を支える「賭け」のリスクが、これまでよりも高くなってきたということだ。 即座の反応を控えた中国指導部 クーデターへの早...

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7月5日、現代中国研究の泰斗、平松茂雄先生が逝去された(享年87歳)。一つの時代が過ぎたという寂寥せきりょうの感を禁じ得ない。 平松先生は静岡県浜松市で昭和11年に生まれ、慶應義塾大学大学院政治学専攻博士課程を修了(法学博士)。防衛庁防衛研究所研究室長を経て、杏林大学教授として多くの学生を指導された。筆者も先生の教えを受けた1人で、海上自衛官として市ヶ谷で勤務していた時、大学院研修の誘いがか...

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米国で先月、中国が米フロリダ州の目と鼻の先のキューバに盗聴基地を設置していることが報じられた。この報道は日本にも伝えられたが、日本の安全保障にどのような影響があるのかについては論じられていない。筆者は五つくらいあると思う。 米戦略原潜の情報収集 中国や北朝鮮が戦術核や戦域核で日本を攻撃した場合、米国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)や戦略爆撃機で報復することは、エスカレーション・ラダー(...

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中国の李強首相が就任後最初の外遊先に選んだのはやはり欧州であった。6月下旬、長年にわたって良好な関係を保つドイツとフランスを訪問した。欧州では、ウクライナ侵略戦争を続けるロシアに好意的態度をとる中国への視線は険しくなっているが、そうした中でも中国は、米欧離間策を進めるため、まず独仏との「変わらぬ交誼」を誇示する必要に迫られた。 李首相が独仏で微笑外交 威圧的ないわゆる戦狼外交は中国外交...

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米印関係が新たな段階に入った。国賓として米国を訪問したモディ首相は、6月22日のホワイトハウスの歓迎式典で、7000人のインド系米国人から大歓迎を受け、その後米議会の上下両院合同会議で自身7年ぶり2度目の演説を行って大喝采を浴びた。バイデン米大統領が同盟国以外の首脳を国賓として招いたのは初めてである。わずか数カ月前まではウクライナ問題でロシアに対するインドの姿勢を非難し、人権問題でインドを批判し続...

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