公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

2014.04.03 (木) 印刷する

自虐史観の克服が先決 田久保忠衛(杏林大学名誉教授)

 戦前の国策通信社といわれた同盟通信社最後の社長古野伊之助氏の部屋には「報道報国」の額が掲げられていた。国に不利になるニュースもどんどん伝える欧米のニュース・メディアと戦前の日本の報道は若干性格は違っていたと思う。いい悪いはともかく、日本の報道の姿勢は戦前から180度変わり、国家イコール悪だから、戦前の日本がやったことはすべて自虐的に報道する傾向があたり前になってしまった。その結果何が生まれたか。ジャパン・タイムズを先頭に、対外発信は少数の例外はあっても日本を自虐的に報道してきた。困ったことは、海外に勤務している外交官の大方も新聞記者と同じ考え方に基づいて行動してきたのではなかったか。
 私は何も戦前に戻れと提唱しているのではないが、新聞記者も外交官も政治家も財界人も外国人と接触する人々はすべて正確な日本の近現代史の知識を持っていないと、いくら対外発言に予算をつぎ込んでも効果は薄いのではないかと危惧している。「ザ・レイプ・オブ・ナンジン」の著者であった故アイリス・チャンと米国TVで討論した日本の大使は、討論の最後の方で、「だからわれわれは謝ってきたではないか」と一言述べただけだという。
 慰安婦、靖国神社など外国が悪意を持って騒ぎ立てることに義憤を感じるには正確な歴史の知識がなければ無理だ。首相が安倍晋三氏になったから不承不承従っている関係者が少くない中で、本当に怒っている人間は誰と誰か。この点も少しは考えてほしい。