下記は、9月13日、東京、日比谷公会堂で行われた拉致問題解決のための国民大集会(総合司会、櫻井よしこ国基研理事長)の決議文である。何より北朝鮮当局に向けたメッセージと言える。
安倍政権が、基本的に外務省に託した対北朝鮮交渉は、相手ペースにはまるばかりで、何の成果も上げていない。が、過去の失敗を問うことよりも、重要なのは今後だ。
安倍首相の言葉、「拉致問題の解決なしに北朝鮮は未来を描くことができない」を具体的に実行できるかどうかが帰趨を決める。日本は口だけ、と北に見切られれば被害者は帰ってこられない。
外務省ルートのやり取りは、あくまで、圧力を背景とした本質的な交渉が成立した後の細部の協議、すなわち帰国手続きの協議に限るべきだろう。拉致問題に通じた特使(民間有識者でもよい)を水面下の本格交渉に用いることが必要だと思われる。
《■国民大集会決議 北朝鮮は13年前の9月、拉致犯罪を自白し謝罪した。しかし、独裁者金正日は「拉致したのはわずか13人だけ」「5人生存、残り8人は死亡」という新たなウソをついた。金正日の後を継いだ世襲独裁者金正恩は、昨年、「再調査」を約束した。
私たちは、あくまで13年前のウソを北に覆させる便法として、「再調査」と日朝協議の行方を一旦見守ることとした。ところが、わが国交渉当局は、被害者を一括して返すという基本的確認を取っていなかった。それなしに、制裁を解除し、総連中央本部建物への居座りを許すという、行動対行動の原則を破る事態が続いた。その結果、認定の有無にかかわらず全被害者を助けるという目標はいまだに何一つ実現していない。
安倍晋三総理は今年4月、私たちの前で「拉致問題の解決なしに北朝鮮は未来を描くことができない」と宣言した。しかし、金正恩政権は遺骨偽造技術開発をつづけ、13年前の死亡、未入境という通報は正しかったという報告書を準備しているという情報がある。北朝鮮で救いを待つ被害者と、わが国で帰りを待つ家族は、この間、限界を超える緊張と苦しみを強要され続けている。もはや、一刻の猶予も許されない。
政府は一括帰国の期限を設定し、それが過ぎても被害者を返さない場合には、昨年の合意を白紙に戻して、解除した制裁をかけ直すだけでなく、できうる最大限の制裁をかけ、「金正恩政権の未来をなくす」を実行すべきだ。立法府も、北朝鮮のようなテロ集団を支える活動を断固阻止する新法を制定するなど、対北圧力強化に力を尽してもらいたい。
私たちは次のことを強く求める。
一、北朝鮮は全拉致被害者を一括して今すぐ帰国させよ。
二、日本政府は北朝鮮に対して、全被害者の一括帰国を要求し続けよ。全被害者の一括帰国を約束しない「報告」や「死亡の証拠」などを受け取ってはならない。
三、日本政府は、全被害者の一括帰国の期限を設定し、それが実現しなければ昨年の合意を白紙にして、未来を描くことが困難になるような強力な制裁と国際圧力をかけると通告せよ。
四、立法府は、テロ集団を支える活動をわが国内で行うことを阻止する新法を作れ。
平成27年9月13日 「最終決戦のとき!不退転の決意で全員救出を!国民大集会」参加者一同》