「令和」の時代に不安が少なくとも3つある。一つは、戦争だ。この予測は難しいが日本の生存にかかわる。二つは、大震災だ。今後30年以内に震度7以上の大地震が起きる確率は南海トラフで80%、死者最大32万人と東日本大震災の17倍といわれる。三つは、日本共産党の政権入りだ。これは架空の話だろうか。
●過去にも政権入り要求
第一に、過去に例がある。敗戦の翌年にそんな話が実際あった。1946年の4月、議席を有しない幣原喜重郎内閣の政権居座りを排するため、自由党、社会党、協同党、そして共産党による4党倒閣共同委員会がもたれ、幣原内閣を総辞職に追い込んだ。問題はそのあとの政権づくり。共産党の徳田球一書記長は政権入りを強く要求した。これに対して、自由党の三木武吉は、皇室を認めない政党に入閣の資格はあるのか、とすごんで排除した。当時の共産党は君主制廃止、人民共和国憲法草案をもっていたから、政権入りはあきらめた。
第二に、怖いのは小選挙区制だ。参議院選挙で政権交代はあり得ないが、しかし参議院選挙で議席を減らして政権を投げ出した例として、宇野宗佑、橋本龍太郎がいる。小選挙区制度は政権交代を目指して出来ている。それだけに一挙に政権交代がありうる。1993年の細川護熙政権から数えて20年間に6年間は「非自民的政権」だ。細川、そして羽田孜、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦の各政権の他に、自民党が社会党と組んだ村山富市政権もあった。20年で6年を長いとみるか、無視できないとみるかだ。
●無原則共闘の恐ろしさ
第三は、「共産党のカベ」が崩れつつあることだ。55年体制下で「共産党を除く」という与野党の話し合いが続いてきた。これが明確になったのは、共産党に言わせれば1980年の「社会・公明の連合政権合意」からだという。
しかし2017年1月の共産党大会で驚くべき事態が起きた。共産党大会に、当時の野党が勢ぞろいしたことだ。民進党、自由党、社民党、それに沖縄の風の幹部が、壇上で手をつないで万歳をした。万歳といったか、頑張ろうといったか知らないが。これは日本政党史に残る。
以後、共産党は「野党共闘」の完全な仲間入りをした。「共産党を除く」カベが落ちたのだ。労働組合の「連合」は反共を旗印に結集し、共産党との共闘に反対したが、支持する立憲民主党、国民民主党の二つともこの原則を無視している。
一時の票欲しさで、無原則になると、あとはずるずるべったりになる。
志位共産党は、政権入りなら、憲法も、自衛隊も、皇室も、OKですというに違いない。安保法制はゆっくりなくしましょう。これで共産党の政権入りを排除できるのか。アリの一穴。「カベ」を無くすと、どうなるか。安全保障と「共産党」は万一を考えることでしょう。