高校野球日本代表チームが韓国遠征に際して、わざわざ日章旗のエンブレムがついたシャツの着用を取りやめたことに対し、日本ではかまびすしい議論になっている。しかし、これは韓国に関する大きな無知が原因だと思う。
韓国でスポーツの日本代表が日の丸をつけていることが、問題になったことは過去に1度もない。今回も、韓国入りした後は日の丸がついている服を着用したというが、一切悶着は起きていない。たぶん、現地で韓国人関係者から問題はないとの説明を受けたのだろう。
●反発受けるのは旭日旗
今の韓国で、いや正確に言うと1965年の日韓国交正常化以来、日章旗が韓国で問題とされたことは一度もないのだ。問題とされたのは旭日旗で、それも2011年ごろからのことで、たかだか10年にもならない。
今現在も、ソウルの中心地にあるコリアナホテルの玄関上には日章旗が他の外国の国旗とならべて毎日、掲揚されている。ソウルの大型教会の一つであるオンヌリ教会でも、同教会が派遣している宣教師を紹介するコーナーで日章旗が掲げられている。
中曽根康弘首相が初めて、韓国を公式訪問した1983年には、ソウルの町中、日章旗が太極旗とクロスして飾られ、まだその時点では残されていた旧朝鮮総督府の建物にも日章旗が太極旗とならんで掲揚された。
韓国人にとって、日章旗は自国の旗として強要されたことが屈辱であって、独立後は、外国の旗として日章旗を飾れるようになったことは誇らしいことという位置づけだ。私は当時、専門調査員としてソウルの日本大使館に勤務していたから、その様子は直接体験している。
●日の丸反対は反日日本人
1970年代後半、韓国に留学していたとき、私は韓国人の友人から「おまえのうちに日章旗がないのか。恥ずかしくないか。日本人は愛国心が足りない。」と言われた経験がある。
その頃、日本国内で在日韓国人らが小中学校の卒業式で日章旗を掲げることに反対する声を上げていた。韓国の友人らはなぜ、日本に住んでいながら日本の国の旗に反対するのか理解できないと言っていたことを思い出す。私は「大部分の在日韓国人は文化的には日本人にほぼ同化しているが、一部の在日韓国人は、朝日新聞などの影響を受けて反日日本人に同化して、日章旗に反対しているのだ」と答えた。
日本代表の高校生らがつけている日章旗が韓国で問題になるかもしれない、そう考えた大人たちの判断こそ大きな誤解なのだ。