文在寅大統領がまた、日韓をめぐる最新の歴史研究成果を無視する反日演説を行った。
文大統領は3月1日、日本統治時代の1919年3月1日に発生した独立運動から101年になる「三・一運動記念式」の演説をソウル市内で行い、「1919年、1年間で実に1542回にわたり行われたデモで、全国でおよそ7600人が死亡、1万6000人がけがを負い、4万6000人が逮捕・拘禁された」と語った。
文大統領は昨年3月1日の演説でも「202万人余りがデモに参加し、約7500人の朝鮮人が殺害され、1万6000人余りが負傷した」と語っていた。
しかし、これに先立つ昨年2月20日には、韓国の国立歴史研究機関である国史編纂委員会が、三・一運動の100周年を期して現存する史料を網羅して大規模に行った研究の結果として、「デモは1687件、延参加人数は103万73人、死者は934人」と発表していた。
つまり、文在寅大統領は2年連続で、自国の国立研究機関の研究成果を無視して死者の数を7倍以上もふくらませて演説したのだ。
●公式数字より通説を選択
私は昨年3月4日の本欄に寄稿した「存在せぬ歴史づくりに疲れる韓国」のなかで、以下のように書いた。
<日本のマスコミはまったく報じていないようだが、国史編纂委員会は2月20日、三・一運動の100周年を期して「当時の延参加人数は103万73人、死者934人」という最新研究成果を発表した。
この数字は当時の朝鮮総督府の発表と近いものだったが、それまでの韓国の通説とは大きく異なるものだった。
通説は、亡命独立運動家の朴殷植が伝聞情報をもとに自著『韓國獨立運動之血史』で示した「参加人数200万人、死者7509人」。一方、朝鮮総督府による公式数字は「参加人数106万人、死者553人」である。
韓国の公式数字が発表された直後の2月23日、朝日新聞は「(いちからわかる!)朝鮮半島で起きた3・1独立運動って?」と題した特集記事を掲載し、「朝鮮側の記録によると、約7500人の犠牲者が出たとされる」と通説を採用して書いている。
また、驚いたことに文在寅大統領とその側近の趙国・大統領首席秘書官は、国史編纂委員会の発表後に、それを無視して従来の通説やその3倍の数字を口にした。すなわち、文大統領は3月1日の演説で「202万名余りがデモに参加し、約7500人の朝鮮人が殺害され、16,000名余りが負傷した」と堂々と語った。
趙首席秘書官は2月24日に「死亡者2万人」と途方もない数字を上げた。>
●日本外務省は訂正求めよ
産経新聞も昨年3月5日にソウル発でほぼ同じ内容を書いた。しかし、文大統領はもちろん、朝日新聞も訂正をしなかった。
文大統領の事実に反する日本非難が2年連続した。そのことを日本のマスコミはまったく伝えていない。外務省は韓国政府に文演説の間違いを指摘し、訂正を求めるべきだ。