公益財団法人 国家基本問題研究所
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2025.10.15 (水) 印刷する

中国軍事動向月報 2025年9月

1 全 般
9月3日、中国抗日・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念大会にて軍事パレードを実施、システム作戦能力・新領域戦力・戦略威嚇を重視した装備が公開された。

海軍では、海上試験中の空母福建が台湾海峡を通過し、南シナ海にて試験・訓練を実施した。22日には、福建の艦上から電磁カタパルトを使用した発艦訓練の映像が公開された。

陸軍では、デッキカーゴ船を使用した北部戦区部隊の海上輸送訓練が、空軍では空中給油後の対地爆撃訓練の状況が報道され、台湾侵攻準備が着々と進展していることをアピールした。

台湾周辺においては、統合戦備警備パトロールに併せて海空統合訓練を実施したことを台湾側が発表し、訓練最盛期に入り訓練レベルを上昇させていることが確認された。

日本周辺では、3日に尖閣諸島接続水域内で海警船5隻が同時に活動していることがAISで確認された。3日の中国抗日・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念大会に備えて尖閣周辺での対応を強化していた可能性がある。これまで、日本漁船対応等で尖閣接続水域外側に増援の海警船が待機していたことはAISで確認されているが、接続水域内に入域しての増援は初確認。AIS信号が確認されたのは3日1回のみであり、海上保安庁のHPにも3日の接続水域入域は4隻になっているのでAIS信号の位置に誤差があるかもしれないが、情勢に応じて接続水域に入域して日本への対応を強化できる態勢を常にとっている可能性もあり、注視が必要。

南シナ海においては、スカボロー礁における資源保護区の設定や比公務船に対する放水が確認された。8月、スカボロー礁周辺で比巡視船に対応していた中国海軍と中国海警船が衝突する事案が発生したため、比に対する強固な姿勢を実際に採ると共にそれを内外にアピールした可能性がある。