令和7年10月14日(火)、国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)は、日台シンポジウムを東京・内幸町のイイノホールで開催した。

今回は、台湾のインド太平洋戦略シンクタンク(印太戦略智庫・IPST・矢板明夫理事長)と共催で、台湾側から王美花・元経済大臣をはじめ著名な方々を招き、国際シンポジウムを開いた。日台の友好関係はインド太平洋の安全保障にとって極めて重要であり、それを強化する鍵の一つが「半導体」であるという考えの下、「半導体同盟―日台協力が拓く新たな未来―」とのテーマを設定した。
半導体は、スマートフォン、車、家電その他の製品に幅広く使われ、いまや社会生活の中では欠くべからざる存在であるのみならず、情報通信や先端兵器など防衛装備品という軍事面においても極めて重要な位置を占めている。
そのような半導体の受託生産で世界最大手の台湾企業TSMCが、熊本県菊陽町に日本初となる巨大な工場を完成させ、半導体のサプライチェインが強化されたことは経済安全保障の観点からも画期的であるが、さらなる深化も望まれる。
そこで国基研では、アジアで運命を共にするといわれる日台がより強固に結びつくために、この問題を多面的な角度から論じるべく、本シンポジウムを開催したものである。
シンポジウムは、櫻井理事長の開会の辞の後、日本側基調講演者として木原稔前防衛相が、官民一体となった半導体への取り組みなどを紹介し、台湾側基調講演者として王美花元経済相が、台湾における半導体産業急拡大の要因と日台連携の必要性などを説明した。
その後のパネルディスカッションでは、レガシー半導体(古い技術だが高耐久性)や先端半導体(先端技術で高性能)の違い、半導体産業における日台の得意分野の違い、ウクライナ戦争からの教訓など、様々な角度から日台半導体協力の重要性について議論された。
最後に、閉会に際して矢板IPST理事長は、日台間は価値観を共有し、長い友好の歴史に基づく信頼があるので、互いの得意分野を生かした補い合える関係であり、半導体に限らず同盟のレベルにまで日台関係を引き上げることが重要だとして、今後の更なる協力を希望し、会を締めくくった。


シンポジウムの流れは以下のとおりである。
〇午前の部
・開会挨拶 :櫻井よしこ理事長
・基調講演 :木原稔・前防衛相
王美花・台湾元経済部長(経済相)
・パネルディスカッション
テ ー マ :「日台半導体の未来」
パネリスト :台湾側=王美花・元経済相
蘇炎坤・国立成功大学半導体学院院長
日本側=伊藤穣一・千葉工業大学学長
モデレーター:櫻井よしこ理事長
〇午後の部
・セッション1
テ ー マ :「半導体連携と経済安全保障」
パネリスト :台湾側=蘇紫雲・国防安全研究院国防戦略・資源研究所所長
林宏文・半導体ジャーナリスト
日本側=土本英樹・元防衛装備庁長官
岩田清文・元陸上幕僚長
モデレーター:矢板明夫・IPST理事長
・セッション2
テ ー マ:「中国軍に関するオシント分析」
パネリスト:台湾側=溫約瑟・IPST研究員
日本側=中川真紀・国基研研究員
モデレーター:有元隆志・国基研企画委員
・閉会挨拶:矢板明夫・IPST理事長
(文責 国基研)




