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2026.04.27 (月) 印刷する

『沖縄「非自治地域リスト入り」はなぜ急浮上したのか』 仲村覚・日本沖縄政策研究フォーラム理事長

日本沖縄政策研究フォーラムの理事長を務める仲村覚氏は、4月24日、国家基本問題研究所企画委員会にて、3月に国連人権理事会(ジュネーブ)で展開された沖縄植民地化の動きについて資料を用いて説明し、その後櫻井理事長をはじめ企画委員らと意見交換を行った。

【概要】
・国連人権理事会で展開される沖縄植民地化の動き

国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)で開催された人権理事会61セッション(2/23~3/31)に参加した。これは、沖縄の主権を根底から解体しようとする中国の「法律戦(Lawfare)」の舞台の一つで、沖縄を日本から切り離された「非自治地域(植民地)」として認定させ、6月にある国連脱植民地化特別委員会(C-24)でリスト入り(後述)を強行しようとする工作の一環といえる。

仮に沖縄が非自治地域リストへ登録されると、沖縄は日本の固有の領土ではなく、日本が不当に支配する植民地として国際的に定義されてしまうことになる。そこで、C-24に先行する人権理事会61セッションにおいて、国連人権条約委員会が日本政府に勧告する「沖縄/琉球先住民問題」について自分を含め2名が反論し、99%以上の沖縄県民の意思を無視し、先住民とすることは重大な事実誤認であることなどを主張したのである。

人権理事会では本会議の傍らサイドイベントを開催することができる。今回は、「先住民族神話を超えて」と題し、沖縄県議会議員、琉球王家当主の顧問弁護士、宗教家などが、沖縄の人々は先住民族ではないことを真摯に訴える広報活動を実施し、本会議でのスピーチを補足することができた。

実は本会議における当方発言の前に、香港の親中派政治家がスピーチを実施した。その内容は、沖縄をアメリカの管理下にある軍事化された植民地と定義し、日本の主権を剥奪しようとするもので、まさに中国が仕掛けるナラティブ戦そのものであった。

・植民地主義の定義が変わった
国連人権理事会は昨年新しい国際デーを開催し、植民地主義の定義を変えたことはあまり知られていない。従来は、地理的に分離され参政権のない地域だけが対象とされていたのだが、「あらゆる形態および現れにおける植民地主義に反対する国際デー」(2025年12月24日、国連総会)という名称は、「あらゆる」という言葉を導入し、基地の存在や構造的差別を現代的植民地主義として再定義したのである。

国連の場で行われる議論が、一般国民の眼に触れる機会が少ないことを利用して、これまで「沖縄県民は日本人である」という疑う余地のない事実まで、捻じ曲げられる可能性が出てきたことは、恐怖を通り越した悪夢ではないか。

・沖縄独立活動家阻止は一歩前進
国連人権理事会の諮問機関に「先住民族の権利に関する専門家機構(EMRIP)」があり、年次会合を開くなど先住民族の権利が国際社会で認識されるための中心的役割を果たしている。これは独立した専門家7名(先住民)で構成され、国連人権高等弁務官事務所が事務局機能をサポートしているが、この専門家に採用されるべく琉球独立活動家の一人が応募していたのだ。

仮に活動家の任命が実現してしまうと、その発言は人権理事会の場で「国連専門家」という公的権威を帯びた見解として記録され、事実上の「国際的合意」として援用され、沖縄の非自治地域リスト入りに拍車がかかる恐れがあった。そこで事前に意見書(1月24日)を提出し、活動家の代表性に疑義を呈した上でジュネーブ入りし、人権理事会の場で主張した結果、任命を阻止することに成功したわけだが、問題はそれで終わるものではない。

・次なる舞台は6月のC-24
この問題の本丸は6月のニューヨークで開催される「脱植民地化特別委員会(C-24)」である。現在、国連が認定している「非自治地域」は世界に17地域だが、そこで沖縄が第18番目の地域に指定(リスト入り)されることは絶対に阻止しなければならない。

仮にリスト入りされてしまうと、沖縄が日本固有の領土ではなく、暫定的に管理している地域へと法的地位が格下げされることになる。つまり、1972年の沖縄返還が国際社会によって否定されるばかりでなく、先住民族の土地と定義されることで、国連宣言(UNDRIP)第30条に基づき、全ての自衛隊施設・米軍基地の駐留が国際法上違法とされ、安全保障体制の崩壊が予想される。

琉球独立活動家の次の手はC-24本会議に向け、リスト入りを請願する可能性である。これに対し、沖縄に暮らす99%以上の住民の民意を代表する県議会議員などが本会議場で直接反論することが望まれる。

この沖縄植民地化問題は、沖縄だけの問題ではなく、日本の主権にかかわる重大な案件であることから、さらなる世論喚起を期待する。

【略歴】
1964年、米国統治下の沖縄那覇市生まれ。1979年、陸上自衛隊少年工科学校(現高等工科学校)入校、卒業後は航空部隊にて勤務。1991年に退官後、複数の企業勤務を経て、2009年に、沖縄が中国の植民地になるという強い危機感から民間団体「沖縄対策本部」を設立(代表)、2016年には「日本沖縄政策研究フォーラム」を設立(理事長)し、沖縄県及びその周辺地域の政策課題について調査、研究、政策提言などを行っている。
主な著書は『狙われた沖縄-真実の沖縄史が日本を救う』(2021年、ハート出版)、『これだけは知っておきたい沖縄の真実-誰が沖縄を守るのか?』(2018年、明成社)など多数。 (文責 国基研)