今月の総合安全保障プロジェクトは、まず岩田清文・元陸上幕僚長が、「核抑止力強化のための国民的議論形成を促す提言」を発表し、続く月次報告会では、中川真紀・国基研研究員が「中国ロケット軍の動向」を報告した。
第1部は国会議員に向け、第2部は主要メディアに向け発表及び報告し、参加した議員、記者、企画委員らの質疑に応じた。以下、その概要を簡単に紹介する。
政策提言発表・月次報告会:国会議員を対象に(午前8時~9時30分)
メディアを対象に(午前11時30分~午後1時)
メディア向け報告では、出席記者からの質問に答える形で補足説明が行われ、活気ある議論が展開された。質疑応答の一部を以下に紹介する。
【質疑応答】
・政策提言関連
Q: 核に関する提言だが、議論が進まない現実は確かだが、そもそもジレンマがある。議論するということは、米国の核の傘が機能していないことを裏付けるのではないか。
A: 慎重な議論が必要な理由はそこにもあるだろう。現実を見れば核弾頭の数量的には、ロシア、中国、北朝鮮を合算すると米国を凌駕する。米国一国のみではどうにもならない時代になったという認識こそ重要である。核の傘が機能する上で何が必要かを議論の俎上に上げる意味がある。
Q: 提言に関し非核三原則を含めた議論が必要ということだが具体的には何か。
A: 非核三原則の表現に関する具体的な内容については、特に「持ち込ませず」が対象になるものと考えるが、その意義も含め今後示したいと思う。
Q: 日米間で行われている拡大抑止の協議と今回の提言に関係はあるか。
A: 拡大抑止の協議はレベルを上げて継続されているが、その内容は部外者が知ることはできず、したがって直接的な関係性はない。
Q: 核はデリケートな問題で国民的議論を起こした結果、非核三原則を見直さないとなった時に日本の核抑止にマイナスになると考えるか。
A: 一時的にはご指摘の通りかもしれない。ただし現状と変化がないことが、本当に日本のためになるかを議論すること自体に意味があり、総合的に見るという視点も大事である。
・中国ロケット軍関連
Q: 中国軍が報道等を通してロケット軍のミサイルを外国に公開する意図は何か。
A: 中国は孫氏の兵法にあるように、戦わずして勝ちたいのである。圧倒的な力を誇示して相手の意思を事前に打ち砕くという意味がある。
Q: DF-26ミサイルが核搭載可能という根拠について教示願いたい。
A: 米国でも評価が公表されているように、射爆場の様子などを見て総合評価する。
Q: ミサイル発射パッドで訓練する模様は分かったが、発射パッドがないところで発射することは可能なのか。
A: 発射パッドがなくても発射は可能である。ただし、発射地点で水平を採ることが可能で地面が堅牢なことが必要だろう。北朝鮮でも飛行場を利用した発射訓練が実施されているように、飛行場なら水平と堅牢が確保される。
この総合安全保障プロジェクトの月次報告会・記者向け報告会は、今後とも継続実施していく予定である。 (文責 国基研)