1 全 般
5月は空母編隊や強襲揚陸艦編隊が太平洋に展開する等、海軍の訓練が活発化した。各戦区海軍の編隊が連携しているかどうかは不明であるが、戦区主催の統合演習が公表されておらず、海軍独自で総合訓練を行っている可能性もある。空軍も台湾周辺における軍用機の活動は昨年と比較すれば低調ではあったが、月間では活動ソーティ数や戦備パトロール回数も増加し、逐次訓練が活発化している。また国境周辺地域においては、海洋調査船の活動や外国艦艇に対する対応等、威嚇・牽制をする活動が多く見られた。軍全般として、3月の全人代、5月の労働節休暇を終了し、部隊訓練の規模やレベルを上げてきている模様だ。
海軍の注目される活動として、3月29日以降、日本海に進出していた北部戦区海軍の艦艇5隻の内、4月11日に太平洋に航行した情報収集艦を除く4隻が4月27日~5月2日にかけて東シナ海へ帰投した。津軽・宗谷海峡の通過が公表されていないことから、約1か月間日本海で活動していたことになるが、露との共同訓練に関する報道は確認されていない。一方、習近平共産党中央委員会総書記・国家主席が6月8~9日に北朝鮮を国賓として訪問することとなった。習近平にとって7年ぶりの訪朝であり、今年初の外遊となるため、北朝鮮としてもそれなりの見返りを準備している可能性がある。仮に北朝鮮日本海側の羅津港の中国軍による使用が議題になるとすれば、北部戦区海軍の編隊はその事前調査等の為に日本海で活動していた可能性もある。羅津港への中国海軍の常駐や、更には中国軍機の羅津港含む羅先特別市の中国内陸からの上空通過が可能になれば、日本の警戒監視勢力の分散を招く恐れがあり、訪朝結果に要注目である。
台湾に対しては、頼総統就任2周年(5/20)を契機とした統合演習等の軍事的威圧は確認されなかった。但し、トランプ訪中に関し、頼総統が17日にFacebookに投稿した「中華民国の現状を防衛し、『台独』問題は存在しない」の一項目は、中国が武力侵攻の条件とする「台湾当局が交渉による両岸統一問題の平和的解決を無期限に拒否した場合」にあてはまる可能性がある。このような頼政権に対し、中国軍が今後、統合演習やグレーゾーンでのハラスメント等で威圧を強化するのか、今後の動向を注視する。
日本に対しては、「軍国主義復活反対」のナラティブをシャングリラダイアローグでも喧伝し、認知戦を強化した。特に中露首脳会談後の共同会見で習近平国家主席が「軍国主義を『復活』させようとする挑発行為に全て反対」と公に自らの言葉で語り、更に「新型軍国主義」という文言が中露共同声明の中に記述された。今後、習近平政権が続く限り、「軍国主義復活反対」のナラティブは継続し、また中露が主導するSCOやBRICS等の地域機構や国際会議の場で利用される可能性も大きくなった。今後、中国が露との連携をどのように利用して対日認知戦を展開するのかにも注意する必要がある。




