ロナルド・モース国家基本問題研究所客員研究員(元麗澤大学教授)は7月27日、同研究所で「2012年米大統領選挙」について語り、同研究所企画委員と意見交換した。この中で、モース氏はオバマ大統領(民主党)とミット・ロムニー共和党大統領候補を比べ、「今後変わりうるが、現段階ではロムニー側に勢いがある」との見解を明らかにした。
大統領選は、共和党全国大会(8月27日―30日)、民主党全国大会(9月4日―6日)を経て、11月6日、投票が行われる。連邦議会選挙も同時に実施される。
モース氏は、米有権者の93%は投票する候補者をすでに決めており、オバマ、ロムニー両候補が伯仲している、と述べた。問題は、残る7%の無党派、浮動票で、両陣営がしのぎを削っている。投票動向を左右する大きな要因の一つは経済状況だ。失業率は悪化しており、すでに40か月にわたり8%を超えている。8%を超えると、普通、現職は再選が難しくなる、とモース氏はいう。同氏は、民主党は効果的な対応策を打ち出せず、国民の60%がオバマ政権の経済政策を支持していない、と指摘する。
上院も共和党が多数派に
有権者の熱意について、モース氏は、共和党支持者の方がオバマ氏を嫌っている分、熱気がある、と分析する。オバマ支持者は、オバマ大統領が多くのことを約束しながら約束を果たしていないため、熱い気持ちを失っている、ともいう。
同時に行われる連邦議員選挙について、上院は現在の民主51議席、共和47議席が、共和50、民主48議席と逆転、共和党が多数派になる、とモース氏は予測している。
下院での共和党多数派は変わらない、という。
外交面では、オバマ大統領が情勢の如何に関わらず米軍はアフガニスタンから来年撤退すると決めているのに対し、ロムニー候補は、アフガニスタンの国内状況が安定するまで留まると約束している。ただ、モース氏の見方は厳しく、アフガニスタンが安定化するなど「31世紀までない」という。対中政策では、伝統的にロムニー候補の共和党の方が厳しく、ロムニー氏が当選すれば、アメリカの対中政策はもっと攻撃的になるだろう。