国家基本問題研究所・朝鮮半島問題研究会(以下、朝鮮研)は企画委員会の下で2009年以来、活動してきた。
座長、副座長は西岡力・企画委員、島田洋一・企画委員、メンバーには潮匡人・客員研究員のほか、朝鮮半島問題の専門家で構成されている。朝鮮研の研究成果は、「金正日健康悪化、後継体制は不安定要素多い——北朝鮮急変事態発生の可能性」(平成21年9月18日)などで公表されている。また、本研究所の朝鮮半島問題に関する政策提言作成の過程でも研究会の成果が活用されてきた。
朝鮮研では基本的にオフレコベースで最新情報交換と情勢分析を行ない、わが国がとるべき政策について議論している。
朝鮮研が7月19日夜、国基研会議室で開催された。テーマは北朝鮮情勢の分析だった。
金正恩の人民軍の最側近とされていた李英鎬総参謀長が15日突然解任され、17日には金正恩が大将から元帥へ昇進した。これをどう見るかが最大のテーマだった。一方、最近の金正恩の動静報道で見慣れない若い女性が3回登場した。彼女の正体についても議論した。
あるメンバーから、李英鎬解任の裏に中国の影響力がある、核実験中止と対南テロを予告した「特別行動」が中止されたのは中国の圧力ではないかとの見方が紹介された。
それに対して、別のメンバーから、「特別行動が中止になった」という情報は行動予告の数日後に北朝鮮内部から流れていたので、中国の圧力とは考えにくいとの報告があった。
また、金正恩に同行している女性について、北朝鮮内部では住民に金正恩の夫人であるとの説明がなされているという情報が紹介された。韓国で脱北者らが運営する自由北韓放送が7月16日、〈新義州、清津、恵山等の内部通信員が「金正恩の夫人であることに間違いない。党書記がそのように言っていて、近い将来『尊敬する奥様(サモニム)』と呼称を統一するための党の措置があるだろう」と語っている〉と報じている。[7月25日北朝鮮公式メディアは彼女を金正恩夫人「李雪主」と報じた]
議論の一部は、西岡座長が7月23日付けで国基研「今週の直言」に執筆した内容に反映されている。