民主党代表岡田克也氏の次の発言には、唖然とした人も多いだろう。産経の6月24日付記事から引いておく。
■米国狙ったミサイル、撃墜必要なし 民主・岡田代表が認識表明-
民主党の岡田克也代表は24日夜のBSフジ番組で、北朝鮮が米国を狙って弾道ミサイルを発射した場合、日本は集団的自衛権を行使できない現行法制では撃墜することはできず、そのために法制を改める必要もないとの認識を示した。事実上、米国に向かうミサイルに自衛隊が共同対処する必要はないとの考えを示したものだ。
岡田氏は、政府が提出した安全保障関連法案で集団的自衛権行使が認められる存立危機事態について「米国にミサイルが飛んでいくことが存立危機事態に当たるのか」と疑義を呈した。そのうえで「グアムなど米国へ飛んでいくミサイルまで撃墜すべきだというなら、裸の(全面的な)集団的自衛権を憲法改正して認めるしかない」と指摘した。
さらに岡田氏は「今、集団的自衛権を認める必要はない」と断言。事実上、米国を狙ったミサイルに自衛隊が共同対処する必要はないとの認識を示した。一方で「未来永劫認めないと決めつける必要はない。将来の余地を全部ふさぐ必要はない」とも述べた。……
6月24日付 産経新聞
2001年、アメリカのニューヨークとワシントン郊外を襲った同時多発テロでは、日本人24人も犠牲になっている。当時、たまたまテレビで聴いた辻元清美議員(まだ社民党所属)の次の発言に呆れたことを思い出す。
「今回やられたのはアメリカで、日本はやられてないわけですから……」
この人の頭の中は、アメリカにはアメリカ人が、日本には日本人が住むという江戸鎖国時代の感覚でとどまっているのだろう。その人物を民主党が引き抜き、事もあろうに安全保障問題でエース扱いしている現状には驚かざるを得ない。無責任、不真面目にも程があろう。
例えば北朝鮮が発射した核ミサイルがニューヨークに落ちれば、数百、数千人の日本人も命を落とすことになろう。
将来、アメリカに向けて撃たれた核ミサイルを、仮に日本が打ち落とせるにも拘わらず、「標的は外国だから」という岡田・辻元的感覚で放置するなら、助けられる日本人の命をも敢えて見捨てることになる。日本の政治家として失格だろう。
なお、この例を見ても、現代においては益々、個別的自衛権は行使するが集団的自衛権は行使しない、などと線引きして対処できないことは明らかだ。
6月22日、衆院平和安全法制特別委員会に参考人として呼ばれた西修駒沢大名誉教授は、集団的自衛権と個別的自衛権を(概念的に)分けるのは無意味だ
、個別的か集団的かという二元論で語ること自体、おかしな話だ。そんな議論をしているのは日本の政治家や学者くらいだ
と強調した民主党の枝野幸男幹事長の論文を紹介した(『文芸春秋』2013年10月号)。
枝野氏に知的誠実があるなら、自党幹部の妄言をたしなめるべきだろう。