日本政府は既に昨年3月以降、防弾チョッキ、鉄帽、防護衣・マスク、小型ドローン、そして民生車両(バン)等をウクライナに提供してきた。しかし、独キール世界経済研究所の2月21日の発表によると、軍事支援や人道支援などを含む支援総額(2022年1月~2023年1月15日)で、日本は10.5億ユーロと世界第10位にとどまっている。英国は日本の約8倍、ドイツが6倍、言うまでもなく最大支援国の米国は73倍だ。日本の支援が目立たないといわれても反論できないだろう。
イスラエル訪問中のオースティン米国防長官は3月9日、イスラエル首脳との共同会見で、同盟国に対しウクライナへの支援を強化するよう求めた。「全ての同盟国およびパートナー国に、この歴史上の重要な瞬間に立ち上がるよう呼びかける。ウクライナ支援に向け、それぞれの役割を緊急に果たさなければならない」と述べた。
情けはウクライナのためならず
5月開催予定の主要7カ国(G7)首脳会議(広島サミット)議長国として、日本の役割は何であろうか。ウクライナが負けることは専制主義国を助長し、ひいては中国を勢いづかせることになる。ロシアを勝たせてはならない。
そして、「情けはウクライナのためならず」。台湾有事において、専制主義国対民主主義国の戦いの最前線に立つ日本は、他国から支援をもらう立場でもある。今、ウクライナに最大限の支援をやらずして、いつ日本の姿勢を世界に示せるのか。ウクライナを、対岸ではなく隣の火事としてとらえるべきだ。
春の統一地方選が終われば、装備移転三原則運用指針の緩和に向けた議論が進むだろう。そうなれば、ウクライナに供与できる装備の幅が広がる。しかし、議論には時間がかかるので、5月のG7に間に合わない。議長国としての日本の姿勢が試される以上、ウクライナが欲するもので、他国に比し日本が大々的、集中的に供与できるものを洗い出し、質的にも量的にも、さすが議長国と認められる供与を表明すべきだ。
桁違いの支援で日本の本気度を示せ
例えば、これまで指摘されているように、電源車・発電機の供与は、電力が枯渇するウクライナにとっては死活的に重要である。またその発電機を駆動させる燃料を運ぶ燃料タンク車もセットで供与することは手の届く支援と言えよう。さらに量的にも、これまで日本が供与した発電機2000台というレベルではなく、1万、2万というオーダーで供与することにより、日本の意気込みを示すことができよう。
加えて、日本が得意とする自動車の中でも、不整地を走破できる四輪駆動車を大量に供与すれば、前線近くまで食料や燃料などの補給品を運ぶことが可能となり、兵士の命を救うことにつながる。
5月、G7の場において桁違いの支援が表明され、日本の本気度が注目されることを期待している。(了)