公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2017年1月の記事一覧

 日本のホテルチェーンのアパホテルが「南京大虐殺」や「慰安婦強制連行」などを 否定する書籍を客室に備えているとして、中国当局が猛反発している。1月中旬から中国外務省の報道官が定例記者会見で3回もアパホテルを批判したほか、24日には、国家観光局が中国国内のすべての旅行会社に対し、アパホテルとの業務提携の中止を命じ、訪日の中国人観光客にも「アパホテルを利用しないよう」と呼びかけた。  ●過剰反応...

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 憲法改正発議のため国会に憲法審査会が設置されたが、議論は遅々として進まない。これは憲法9条を改正したくない民進党や共産党などが、立憲主義などいろいろな理由をつけて安倍晋三首相や自民党の憲法改正を阻んでいるからに他ならない。  政党間の憲法改正論議を聞いても、自民党ですら9条改正をはっきり主張しないのはどうしたことか。漠然とした憲法改正や広範な条文の改正を言っても、徒らに時間を浪費するのみで、喫...

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 私は昨年10月、本研究所理事で明星大学特別教授の髙橋史朗氏らと「歴史認識問題研究会」を発足させた。「歴史認識問題」とは、単純に他国とわが国の歴史認識が異なっていることではない。そのようなことは多くの近隣国同士で起きる通常の現象だ。むしろ、国や民族が異なるからこそ歴史認識が異なるのだ。同じになることはあり得ない。したがって、歴史認識が異なることそれ自体は「解決すべき課題」ではない。  それでは、...

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 16日付で、「慰安婦問題でなお偏向する米紙社説」と題する「直言」を書いたが、その後、アパホテルが客室に備え付けた図書について中国外交部が、「南京大虐殺などを否定するものだ」と、いわれなき攻撃を加えている。  直言では、「性奴隷」という表現と「20万人」という数の両面で事実と異なることを指摘したが、南京大虐殺についても「大虐殺(ナチスがユダヤ人に対して行なった組織的殺戮)」という表現と「30万人...

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 このような首脳外交ができるのは、日本の歴代首相の中でも卓越した戦略観の持主しかいないだろう。安倍晋三首相の豪州、東南アジアの4カ国訪問は、南シナ海を結節点としてインド洋と太平洋に橋を架けるための戦略外交である。首相が今回の歴訪で伝えようとしたのはシンプルな2つの力強いメッセージであり、その結束力をもって米国の新政権を動かそうとしている。  共同対処のターゲットとなるのは、南シナ海で7つの人工島...

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 拉致被害者の保護に関する日本政府の論理的および倫理的整合性を欠く姿勢について1月12日付の本欄で論じたところ、同17日付で国基研事務局長の黒澤聖二氏から補論が寄せられた。防衛法制の専門家による精緻な議論であり、問題点がより明らかになったと思う。  黒澤氏によれば、在外自国民保護を目的とした実力行使が自衛権の適用範囲かどうかについて定説はないが、日本政府は米国による在イラン大使館員救出作戦(19...

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 米国は民主主義諸国のリーダーであることをやめ、第2次世界大戦後に築かれてきた米国主導の世界秩序は終わりを告げるのか―。米国の同盟諸国は固唾をのんでトランプ米新政権の発足を見守っている。  20日のトランプ大統領就任を前にした、主要閣僚候補による上院の指名承認公聴会の発言は、同盟国の懸念に配慮する内容だった。とりわけ存在感を示したのは、国防長官に起用されるジェームズ・マティス退役海兵隊大将である...

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 1月12日付の本欄で、島田洋一氏が、在外自国民の保護に関して、国際法上の議論と国内法上の議論が嚙み合っていないと指摘している。この議論は島田氏が例示した2014年の新安保法制の審議以前からあった。国際法の視点を含め若干補っておきたい。  まず前提となる「身体、生命に対する重大かつ急迫な侵害」にさらされた在外邦人の救出に関する1991年の衆議院安保特別委員会での政府答弁を再確認しておきたい。当時...

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 北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」と、韓国の左派系「ハンギョレ新聞」、保守系「朝鮮日報」「東亜日報」「中央日報」が、朴槿恵大統領たたきで全く同じ報道をしている。だから11月23日の労働新聞社説は韓国の新聞・テレビを激賛した。  ●「朴たたき」と「日本たたき」  韓国保守を代表する知識人、趙甲済氏は次のように語っている。  「保守新聞を含むマスコミがあまりにも多くの誤報をしたため、お互いか...

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 本欄に1月11日付で、櫻井よしこ国基研理事長が「憲法改正の好機は再来年まで」と題する一文を寄せている。  「(政治日程を見ると)憲法改正に向けて、国会論戦、両院による発議そして国民投票のための時間がとれるのは、今年から再来年の参院選の前までしかない」というのが政界通の見立てだという。その際、「改正の焦点は、9条2項であろう」という櫻井氏の論に同意した上で、各党に具体的に問いたいことがある。 ...

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 韓国の市民団体が釜山の日本総領事館前に慰安婦像を設置した問題で、日本政府はその対抗措置として駐韓国大使と釜山総領事を一時的に帰国させると発表し、9日、長嶺安政・駐韓大使は帰国した。  2015年12月の日韓合意の内容を考慮すれば韓国側の対応には疑問符が付く。日本人が厳しい措置を求めても当然だろう。  だが、筆者は市井の人々がそうした発想に流れることは理解できても、政府が制裁的な対抗策を打ち出...

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 安倍晋三首相の前には、天皇陛下のご譲位、総選挙、憲法改正の発議と国民投票など重要な課題が山積する。これらの課題を成し遂げるには、今年秋から再来年の平成31年までがチャンスだと、産経新聞の名物記者、黒シャツ姿がトレードマークの石橋文登政治部長が指摘する。私も同意見だが、皆さんはどう思われるか。  日本国の基本的在り方を守りつつ、天皇陛下のご譲位への思いに応える方法として、政府は今上陛下一代限りの...

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 大晦日のNHK報道によれば、衆議院憲法審査会の森英介会長(自民党)は憲法改正について、「国民の合意形成が重要だ」とし、拙速な議論は慎むべきだという考えを示した。「拙」はともかく、速やかに行わないと我が国を取りまく厳しい安全保障環境は待ってくれない。  ごく最近の我が国周辺の安全保障環境を概括しただけでも、以下の様な厳しい状況が見えてくる。  昨年11月には中国の爆撃機や戦闘機が多数、宮古海峡...

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 昨年12月の安倍首相とプーチン大統領による日露首脳会談をみて、ロシアは北方領土を日本に返還する意思が全くないと思ったのは私1人ではないだろう。戦後70年以上にわたり何回も返還交渉がなされたが,その度に日本国民は期待を裏切られ続けてきたところである。  ロシアは今回の首脳会談の直前、国後島と択捉島に最新鋭ミサイルを配備した。北海道の道東全域が射程に入るという。加えてプーチン大統領は、「日露間に領...

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 中国は年明けから海軍初の空母「遼寧」を使った宣伝戦に余念がない。南シナ海で艦載機による離発着訓練を、連日テレビに映し出し、領海や海洋権益で決して譲歩しないことを内外に示した。日米が年末にハワイの真珠湾で「和解力」を発信しているときに、中国はわざわざ西太平洋にまで空母を押し出して「敵対力」を誇示した。  狙いは米国の新しい政権に向けた危険なテストなのか、あるいは今年秋に開催する中国共産党大会に向...

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