2018年1月の記事一覧
悪辣なシャープパワーが豪を動かす 湯浅博(国基研企画委員)
トランプ米大統領が居眠りしていようと、中国の習近平国家主席が毛沢東のような権力を握ろうと、インド太平洋地域の新たな安全保障の枠組みは着実に動きはじめた。マルコム・ターンブル豪首相の日本訪問と同じ今月18 日に、ニューデリーでも日米豪印の海軍トップが参加して連携の協議を開始したからだ。 とくに、ターンブル首相の訪日は、最大の貿易相手国・中国に気兼ねしつつも、日米豪印の「安全保障ダイヤモンド」に...
文政権の反日ポピュリズムを甘くみるな 久保田るり子(産経新聞編集委員)
日韓合意に対する韓国・文在寅政権の態度は欺瞞に満ちている。世論調査では90%以上の日本人が「納得できない」と拒否感を明示したが、日本に広がった対韓不信は今後、韓国にとって大きな損失をもたらすだろう。 日本人がこれほど怒るのは、政府間合意を簡単に反故にする韓国側の非礼ぶりもさることながら、非は日本側にこそあるという偽善極まりない態度、執拗な反日意識を韓国側がむき出しにしたからだ。 「再交渉...
サンフランシスコの慰安婦像設立者の正体 西岡力(麗澤大学客員教授・モラロジー研究所歴史研究室長)
米サンフランシスコの慰安婦像は、これまでのチマチョゴリを来た朝鮮人少女像でなく、朝鮮人、中国人、フィリピン人の慰安婦像が3体並び、それを韓国人老婆(最初に名乗り出た元慰安婦がモデル)が横で見つめるという特異なものだった。それを設置したのは韓国系でなく中国系の反日団体だった。また、マニラでフィリピン人の慰安婦像を設置したのもフィリピン人でなく中国系団体だった。中国が慰安婦問題で前面に出てきた表れだ...
米国防戦略は「同盟国の負担」も指摘 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
マティス米国防長官は19日、ワシントンで演説し、トランプ政権で初の「国家防衛戦略」を公表した。長官は「アメリカの国防の第一の関心事は今やテロではなく大国間の競争だ」と述べた。 演説は筆者の母校でもあるジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院で行われたが、これを聴いた友人は「鉄のカーテン崩壊以来、中国、ロシアに対する注意を振り向けてくれた」との感想メッセージを送ってくれた。 同日、国...
偏見に満ちた英誌の明治維新批判 冨山泰(国際問題研究者)
世界で最も権威あるニュース週刊誌の一つである英国のエコノミスト(1月13日発売号)が、今年150周年を迎える明治維新について、偏見に満ちた記事を掲載した。明治維新は日本を近代化し、欧米列強の植民地になることから救ったと美化されているものの、日本のアジア侵略の種をまいたことを忘れてはならない、と講釈を垂れている。 明治維新よりはるか前にアジアを侵略し、今日のインドから東南アジア、オーストラリア...
鵜呑みにできぬ韓国発表の「情報」 島田洋一(福井県立大学教授)
1月11日付の産経新聞に「南北対話中軍事行動ない 米韓電話会談 トランプ氏言明」と題するソウル発の記事(桜井紀雄記者)が載った。一部引いておく。 <韓国の文在寅大統領は10日夜、トランプ米大統領との電話会談で、北朝鮮の平昌五輪参加で合意した9日の南北閣僚級会談の内容を説明、トランプ氏は「南北間の対話が行われている間は、いかなる軍事的行動もない」と述べた。韓国大統領府が明らかにした。> ト...
若い外国人居住者の急増に思う 石川弘修(国基研理事)
今年の成人式は例年より早い1月8日、大きな波乱もなく終わったが、報道によれば、東京23区で昨年4月2日から今年4月1日までに20歳となる新成人約8万3000人のうち、8人に1人にあたる1万800人余りが外国人だった。 ●新宿区では新成人の半数 中でも外国人の比率が高かったのが新宿区で、4004人の新成人のうち1837人と、ほぼ半数(45.8%)を占めた。次いで豊島区が38.3%、中野...
カナダ抜きでもTPP11の実現目指せ 大岩雄次郎(東京国際大学教授)
米国を除くTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)=TPP11の交渉は、日本が主導して昨年11月11日に大筋合意したが、3月上旬までの署名式に向けて残された課題の最終調整を図る首席交渉官会合が、今月下旬に東京都内で開かれる。政府は、TPP11の経済的及び政治的意義を踏まえて、その実現に背水の陣で臨む必要がある。 ●まず日本が速やかに承認を 米国のTPP離脱当初は、TPPの実現が危ぶまれた...
くすぶる不満、大規模デモ再燃の懸念も 野村明史(拓殖大学海外事情研究所助手)
2017年12月末より、イランの各地で政府に対する大規模な抗議デモが発生した。28日に北東部のマシャド、ニシャプール、シャーハルードなどの都市で始まり、29日には、首都テヘラン、シーア派の聖地としても知られるコムやエスファハーン、ケルマンシャー、シラーズなど全土に拡大した。このような大規模デモは2009年のアフマディーネジャード氏の大統領当選に対し、対抗馬であった元首相のムサーヴィー氏側が不正を...
江藤淳の9条解釈を弁護する 斎藤禎(国基研理事)
旧臘26日付産経新聞の「正論」欄で、憲法学者の百地章氏が「『9条2項』改正派に誤解はないか」と訴え、次のようにお書きになった。 <故江藤淳氏も同様で、「交戦権の否認」は「主権の制限」であり、これによってわが国は「自衛権の行使」さえできなくなった、と誤解していた(同『一九四六年憲法-その拘束』)> 江藤淳の『一九四六年憲法―その拘束』は、『諸君!』1980年8月号に掲載されたが、憲法論議が...
日韓の「合意」は不可逆的と思うな 島田洋一(福井県立大学教授)
2017年12月27日、韓国外相直属の「タスクフォース」が、慰安婦問題に関する日韓合意(2015年12月)の「検証結果」を発表した。その内容の問題点は、同28日付の「今週の直言」で西岡力氏が指摘したとおりである。 ここでは、日韓合意とアメリカとの関係について一言付け加えたい。 ●米国は「立会人」役果たせず 28日付の産経新聞で、阿比留瑠比論説委員が次の様に書いている。 「合意...