公益財団法人 国家基本問題研究所
https://jinf.jp/

国基研ろんだん

2014.04.14 (月) 印刷する

生産技術の情報管理が死命を制する 北村稔(立命館大学教授)

 現代の工業化社会では、軍事情報を除けば生産技術に関する情報が最重要であり、一国の経済を支配し、国家社会の安定をもたらす。その生産技術情報が、新聞報道によれば、中国や韓国により、特許を無視され、個人に対する買収により露骨に盗み取られている。

ちなみに中国と韓国の文明には、技術軽視の伝統が脈脈と流れ、技術革新を持続的に行う文化的基礎が完全に欠落している。伝統的に彼らが依拠する儒教的世界観では、客観と主観の区別が茫洋としており(天人合一)、物理(客観)と心理(主観)の区別が判然としない。自分の思ったことが、即時に、客観的事実につながるのである。それゆえにこそ、我々からみれば恥知らずな自己主張を、領土問題や工業製品に関して展開し続けられるのである。

しかし物事には両面がある。物理(客観)が成立しづらい文化状況では、工業化に必要な技術革新は生まれない。対象を客観的に徹底分析し、技術体系を構築する頭の構造が育たないのである。個別具体的技術(ハード)を生み出すソフトが育たないのであり、両国における物理学研究と数学研究の不振に象徴的に現れている。それにも拘わらず、工業生産のためにはハード(個別具体的技術)が不可欠である。かくして両国による、特許無視や技術盗用が横行する。

しかし個別具体的技術(ハード)は日進月歩であり、盗用には限りがある。

日本が生産技術の情報管理を厳格にすれば、自己生産できない彼らは干上がるしかなく、我々は彼らの死命を制している。そしてこの絶対的優位の維持には、日本の技術者に対する情報教育の徹底と、技術者の老後の保障が不可欠である。