安全保障関連法案を審議する5月28日の衆院特別委員会で、安倍首相が辻元清美議員(斜陽の社民党を出て民主党入り)に「早く質問しろよ」とヤジを飛ばした問題で、首相は6月1日の同委において、「私の発言に関して重ねておわび申し上げるとともに、(委員長の)ご指示を踏まえて真摯に対応して参ります」と謝罪した。
ところで、当該辻元氏の「質問」はどのような内容のものだったか。長広舌を要約すれば、「日本が機雷の掃海に行くということは、相手国から見れば敵国になるわけです。日本国内や日本人も敵国の国民になって、テロに狙われる可能性は増えると思いますよ。そして、自衛隊員が死亡したり被害が出るリスクも増えると思いますよ」といった何の新味もない「巻き込まれ論、一国平和主義」である。前後して質問した同じ民主党の長島昭久氏は、安倍首相の情勢認識にも法案の趣旨にも基本的に理解を示している。ただ長島氏は、安保関連10法案を一括提出した政府の対応に「ごった煮で出されても議論しにくい」と注文をつけたが、「ごった煮で質問されても議論しにくい」が民主党に対する首相のみならず良識ある国民の思いではないか。安倍首相は、「早く分裂しろよ、民主党は」と野次を飛ばすべきだった。
なお、民主党の枝野幸男幹事長は、辻元氏擁護の立場から、「政治家、総理大臣以前に、人としていかがなのか」と首相を批判している。辻元氏も、首相の野次に対し、「私はとても、寂しい気分というか情けない気分になりました。今これ、人の生死とか戦争にかかわる話しですよ」と嘆息パフォーマンスに出た。しかし、果たして辻元氏や枝野氏に、人の道を説き、「人の生死」を云々する資格があるのか。
辻元氏は、社民党政審会長だった2001年11月、北朝鮮による日本人拉致に関して、「北朝鮮には(戦後)補償を何もしていないのだから、そのことをセットにせず『九人、十人返せ』ばかり言ってもフェアじゃない」、「拉致問題というのは、これまでにも世界のいろいろなところで起きている」などと、北朝鮮側に寄り添う放言をしている。
このような人物をなぜ民主党はわざわざ社民党から引き抜いて公認し、重要委員会での国会質問にまで立てているのか。国民に謝罪すべきは、民主党幹部ではないのか。
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