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2019.12.23 (月) 印刷する

北朝鮮のクリスマスプレゼントは米本土上空の静止衛星か 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)

 12月22日、北朝鮮は金正恩が主宰して労働党拡大中央軍事委員会を開催し「自衛的国防力発展」について論議したと報じた。予告していた労働党中央委員会全体会議はその後に開かれるのではないかと予想されている。
 私は以下のような北朝鮮内部情報を数日前に入手していた。それによると、25日以前に中央委員会全体会議が開かれることになる。情報の正しさはすぐ検証されるが、現時点で分かっていることとして、ここに国基研関係者と共有したい。

  1. 9月に金正恩が12月25日までに原潜を完成させて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)をそこから発射する準備を完成させよと命令した。新浦の原潜工場は24時間体制で命令を実行しようとしたが、間に合わなかった。12月上旬段階で原潜は未完成だ。SLBM発射システムも不安定で潜水艦が沈没する恐れすらある。
  2. そこで、クリスマスに向けて朝鮮人民軍が太平洋に大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を検討した。しかし、それをすると米国が軍事行動に出ると予想した幹部らが妹の金与正に情報を集め、与正が金正恩を説得して保留を決定した。直接、金正恩に情報を持って行くと、金正恩は感情が不安定で突発的に決断する恐れがあるので与正に説得を求めた。
  3. 25日より前に中央委員会総会を開く。すでに地方にいる中央委員と候補委員に20日まで平壌に到着せよと指示が出ている。総会で「米国がどのように圧力をかけても我々は我々の道を行く。苦難の行軍を覚悟してどんな制裁も恐れない」と決議する。
  4. 12月上旬段階の計画は、25日を過ぎて人工衛星を発射する、米本土の上空に静止衛星を上げる、だった。
  5. ロシアのミサイルや潜水艦の技術者が40人あまり北朝鮮で活動している。すでに核弾頭は100発作った。この間、ウラン濃縮を大々的に進めた。